顎関節症とは、顎回り全般のトラブルを指します。
皆さんの中に「口を開閉しにくい」「開けると変な音がする」「顎や頬、こめかみが痛む」という方はいらっしゃいませんか?
単なる偏頭痛や寝違え、肩や首の痛みの可能性もありますが、痛みを発する部位や動かしにくいと感じる部位によっては、顎や口に何かトラブルが起きている可能性があります。
口のトラブルというと代表的なものとして思い浮かぶのが虫歯です。しかし、歯科医院で治療できるのは、虫歯や歯肉炎といった口の中のトラブルだけではありません。顔や首周りの違和感がある場合は顎関節症を疑いましょう。
今回は日常的に痛い思いをすることになる顎関節症について、基本的な知識をお伝えします。
Contents
歯科医院で治療できる顎関節症
顎関節症は特定の一つの症状だけではなく、顎や口回り全般に症状が出ることが特徴です。
前述したように顎を始め隣接した部位に痛みが出ること、そして口を開けたときに聞こえる”パキッ”という音、口の開閉が困難になるということが主な症状です。しかし顎関節症の各症状は顎が原因というわけではなく、顎を含めた口全般のトラブルが原因であることが多いのです。
事故などで顎の骨を骨折してしまっている場合や、骨が外れてしまっているような重症の場合には歯科医院ではなく外科で治療することが必要です。顎関節症は顎の骨が骨折などが原因で起こる訳ではなく、歯科医院で治療が可能な歯並びなどが原因で引き起こされるものなのです。
例えば虫歯になって痛みを感じ、特定の歯をかばってしまうことや、歯肉炎の痛みで咀嚼が疎かになってしまうこと、嚙み合わせや歯並びのせいで物を噛むのが困難な場合も顎に影響を及ぼし、顎関節症になってしまうのです。
顎関節症の原因
顎関節症の引き金になるのは虫歯・嚙み合わせ・歯並び・歯肉炎といった口腔内のトラブルだけではありません。原因は意外なところにもあるのです。それが生活習慣です。
姿勢の悪さが原因になることもありますし、食事をする時の咀嚼の癖が原因になることもあります。また、楽器好きの方は長時間楽器を吹くことによって顎に負担をかけてしまい、顎関節症になることがあります。他にも睡眠時の歯ぎしりや食いしばりなど、日常生活の中でもさまざまなことが顎関節症を引き起こす原因となるのです。
顎関節症の症状を自覚しているのは特に若い女性が多いというデータがあります。厚生労働省の平成23年度の調査によると、顎を動かす時に音が気になると回答した25~29歳の女性はなんと35%を上回るという結果が出ています。そして顎の痛みを感じている方は、男女問わず全年齢の1~6%となっており、どの年代にも顎関節症の疑いがあることがわかっています。
年代を問わず顎関節症になる可能性があり、しかも若い方にも多いのが顎関節症の特徴です。まだ若いから顎や歯のトラブルとは関係ないと考えている方も、決して他人事ではないのです。
顎関節症の治療の選択方法
顎関節症の疑いがあれば、まずは専門医に診察を受けて問題点を確認することが第一です。
顎関節症は多くの要因により引き起こされていることが考えられるため、問題点は一つとは限りません。例えば猫背でいつもパソコンを操作し、歯並びが悪くかみ合わせにも問題があるとすれば全てを改善していく必要があるのです。
歯並びが悪いと食べ物を噛むときに顎に負担をかけます。更に猫背ということであれば、体の癖が原因で顎関節症の症状が出ていることも考えられます。
顎関節症の原因が一つで無い以上、症状や原因には個人差があり適切な治療方法も異なります。
虫歯や歯肉炎がきっかけになることもあるため、どの順番で治療をしていくのが効果的かどうか医師に確認しましょう。
最も改善が必要なのが歯並びだとすれば、歯並びの治療が優先です。虫歯があれば虫歯のケアも必要になります。
顎関節症の治療は診察から始まりますが、その後の流れは一人一人の癖や口腔内のトラブルに応じて相談しながら決めていくことになります。顎関節症を引き起こす要因はたくさんあるからこそ、優先度が高いものを専門医が診察の中で見極め、治療計画を立てることになります。
計画に沿って費用や必要な処置をきちんと説明してくれる歯科医院を選択しましょう。
咀嚼や顎の負担に問題は?定期的なケアを
まだ具体的な症状が出ていない段階で歯科医院を受診することも効果的です。例えば歯の噛み合わせが気になっている人は、顎に痛みがなく特に開閉に問題がない場合でも早期に専門医へ相談することによって将来的な顎関節症を未然に防ぐことも可能です。
顎関節症を引き起こす要因を早めに改善することは口の中の他のトラブルを防ぐ上でも効果的です。歯は生きる上でなくてはならない大切な存在です。早め早めの相談で顎関節症を防ぐとともに口の健康も守りましょう。
最後に
顎関節症は顎の骨や筋肉といった、顎だけの問題が引き起こすわけではありません。嚙み合わせや姿勢、食事の頻度といった生活習慣が原因で引き起こされるため、「誰でもなる可能性がある」と言えます。年齢や性別によって起きるというわけではないため、どんな年代にでも現れるのが特徴です。
普段から自分の口腔内だけでなく口回りにも気を払い、違和感がある時にはなるべく早めに歯科医院に相談してください。
一つの口のトラブルがさらなるトラブルを引き起こしてしまう前に、早めの対処が重要なのです。