顎関節症とはどのような病気?詳しい病態について | 歯と健康のラボラトリー

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顎関節症とはどのような病気?詳しい病態について

一生のうちに多くの方が経験する可能性がある症状が「顎関節症」です。

顎が痛む、口が大きく開かない、口を開けると顎から音が鳴るなどが主な症状で、そのような顎の関節やあごの筋肉の症状を総称して顎関節症と言います。

顎関節症には安静にしていれば治癒するものから、専門的な治療や指導が必要となるものまであり、一言で顎関節症と言ってもその症状はさまざまです。

今回は顎関節症の詳しい病態についてご説明させていただきます。現時点で顎に何か気になることがあるという方は是非参考になさって下さい。

Contents

顎関節症とは

口が開かないことや顎が痛いという経験を既にしたことがある方も多いのではないでしょうか。顎関節症の症状があったとしても、ひどい痛みが無い限りはそのまま放置している方もいらっしゃるかも知れませんし、顎関節症だという自覚がない方もいらっしゃるでしょう。

しかし顎の機能に不具合が生じ、顎の関節やそれに関わる筋肉、咬み合わせなどにさまざまな症状が現れると、気になってしまうものです。

「顎が痛い」「口が大きく開かない」「顎関節の周囲から音がする」このような症状がある方は顎関節症かも知れません。これらの症状が顎関節症の主な症状ですが、症状の現れ方には個人差があり、どれか一つの症状が出るケースやいくつかの症状が組み合わさって現れるケースもあります。

どれか一つ、もしくは複数の症状がある場合には顎関節症を疑い、日本顎関節学会専門医・指導医の在籍している歯科医院を受診しましょう。

顎関節症の原因

顎関節症になってしまうのにはさまざまな要因が考えられます。

  • 性差(女性のほうが多いと言われています)
  • 姿勢・頭部顔面の形態
  • 不正咬合や骨格性異常
  • 不安やストレス
  • 顎に力がかかるスポーツや癖
  • 睡眠障害
  • 顎機能異常や筋活動の異常
  • 顎の使い過ぎによる疲労
  • 顎に負担のかかる楽器の演奏
  • 長時間の歯科治療

このほかにも顎関節症を招く要因にはさまざまなものがあります。

ただし、何かひとつの要因で顎関節症が起こるのではなく、いくつかの因子がいっしょになること(多因子)で、症状が起こると考えられています。

さらに、患者さんそれぞれによっても、環境、口腔内の状況、全身状態など患者さん自身の要因もさまざまです。同じような状況であっても、症状のでる人とでない人がいるのです。

治療する際には、それぞれの要因を診査、診断し、患者さんの症状に合わせて、最適な治療法を検討していく必要があります。

また、顔面に痛みをもったり、口が開きづらくなるような、顎関節症と同じような症状があっても、別の疾患であることがあります。別の疾患であれば治療法も異なってきますので、本当に顎関節症であるか、鑑別診断をすることも大変重要です。

顎関節症の症状①痛み

顎関節症では痛みが現れるケースもあります。

耳の前

耳の前を触って口を開閉すると、関節が動くのが分かるでしょう。この部分が顎関節と呼ばれる部位です。顎を開閉したり、物を咬んだ際にこの顎関節の部分に痛みがある場合には、顎関節症である可能性が高いと言えます。

顎関節の内部にある関節円板というクッションや関節腔などになんらかの障害が起きてしまうことで痛みを発生させます。

顎関節症の場合には、顎関節以外の部位に痛みを感じるケースもあります。たとえ顎関節そのものに問題がなく、筋肉だけが痛い場合でも顎関節症になります。

頬の周囲

指を頬に当て、ギュッと噛みしめた際に頬の筋肉が硬く盛り上がる部分がありますが、これを咬筋と言います。咬筋は食べ物を咬むための筋肉(咀嚼筋)です。

咬筋に痛みを感じる場合にも、顎関節症である可能性が高いと考えられ、日常生活での咬みしめや歯ぎしりなどの影響で咬筋に負担が掛かっていることによって筋肉に痛みを感じます。

こめかみ

こめかみを少し押した際に痛みを感じる場合があります。こめかみの辺りは側頭筋という筋肉があり、咬筋と同じく咬むための筋肉です。

あまり自覚が無いかも知れませんが、本を読んだり考え事をしている時など顔の筋肉に負担が掛かっていることが多くあります。痛みが慢性化してしまうと頭痛に繋がることがあります。

顎関節症の症状②音

食事で口を開けた際や、大きな口を開けて笑った際など、顎関節の周囲から音がするという症状も、顎関節症の症状の一つです。

関節内の変化(関節円板のずれなど)を反映していることで音が鳴りますが、音にも種類があり、顎関節の状態が正常であったとしても音が鳴る場合もあります。

万が一音が出る位置が変わったり、小さな音だったのが次第に耳に響くような大きな音に変化したり、強く引っかかりを感じたり、痛みを伴うようになったなと感じる場合には、自己判断せずに早めに専門医に相談しましょう。

顎関節症の症状③口が開かない

指を揃えた状態で縦に3本入れば十分に口が開いている状態と言えます。しかし縦に指が3本入らず、日常生活で不便さを感じたり、痛みを感じている場合には開口障害という顎関節症の主な症状が出ていると言えます。

また、口を開ける際に真っすぐに開かずに曲がってしまったり、頑張って開こうとすれば開くが引っかかる感覚があるケースもあります。

口が開かない場合には顎関節や筋肉に原因がある場合があります。

口が開かなくなってからすぐの場合と、口が開かなくなってから時間が経ってからでは治療方法も異なりますので、気が付いた時にすぐに専門医に相談するようにしましょう。

その他の症状

顎の痛みや音、開口障害のほかにも症状がありますが、顎関節症以外が原因となっている可能性もありますので注意しましょう。

咬み合わせがおかしい

咬み合わせが急に変化し、左右どちらかが咬み合わせにくい状態になったり、咬んでいた歯に隙間ができてしまうことがあります。

このような状態になった場合には、顎関節症の場合とそうでない場合があります。

顎関節症が原因となる場合には関節円板が引っかかってしまうことが考えられ、急に口を開閉した時など、急に咬み合わさらなくなることがあります。

その他にも耳鳴りや顎関節周囲の腫れなどを顎関節症の症状と勘違いしてしまうことがありますが、顎関節症で耳鳴りが起こったり顎関節周囲が腫れることはありません。

まとめ

顎関節症と言ってもその症状はさまざまで、口が開かないだけでなく痛みが伴うことがあり、日常生活に支障をきたしてしまうこともあります。

顎関節症によって顎の機能が進行的に破壊されてしまうことはありませんが、気になることがあればなるべく早いうちに日本顎関節学会専門医・指導医の資格を持つ歯科医師に診断してもらうことをおすすめします。

必要な場合にはスプリント、運動療法、TCH、パンピングや洗浄療法などによって治療を行うことができます。

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