子どもたちの健やかな未来を守るための「不正咬合」の基礎知識 | 歯と健康のラボラトリー

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子どもたちの健やかな未来を守るための「不正咬合」の基礎知識

お子さまやお孫さまの歯並びについて、何か気になることはありませんか?

歯並びが悪い、口が開いたままになっているなど、お子さまの口の状態について何か不安に感じていることがあるという親御さんも多いのではないでしょうか。

3~5歳の歯科検診では、虫歯はない状態であっても口の中が狭く、歯並びや噛み合わせに問題がある不正咬合が多く見られます。

「不正咬合」は顎の発育に何か問題があることや、歯が大きすぎたり歯が生える位置に問題があることが原因で起きている悪い歯並びのことを言います。

歯並びが悪いことによって顔のバランスが崩れてしまったり、喋りにくいと感じるなど何かお子さまがコンプレックスに感じる前に、まずは不正咬合とは何かしっかりと知識を身に付けましょう。

親御さんがお子さまの歯の状態をしっかりと確認し、不安に思うことは早めに歯科医院に相談することでお子さまの全身の健康を守ることができます。

Contents

不正咬合の原因

小さなお子さまの不正咬合の原因には一体どのような事が考えられるのでしょうか。

歯並びや噛み合わせは、噛む力に大きな影響を与えています。

最近は赤ちゃんの授乳期間が短縮されている傾向にあります。一般的には母乳による授乳の期間が短くなっていると言われており、口腔周囲の機能が充分トレーニングされないまま、離乳されてしまい結果的に軟らかい食べ物を摂る期間が長くなっています。

そのため次に生えてくる永久歯が萌出するための十分な顎が発達できないことが不正咬合の大きな原因と言われています。

また、乳歯の虫歯も不正咬合(不正な歯並び)の原因のひとつと言われています。乳歯の虫歯は進行が早く、虫歯の放置は永久歯に悪影響を与えます。

虫歯の原因ミュータンス連鎖球菌に感染する危険が最も大きいのは、奥歯が生え揃う1歳7ヶ月頃~2歳7ヶ月頃の1年間といわれています。

不正咬合の種類

見た目にはあまり気にならない歯並びでも、不正咬合の可能性があるのでしっかりと確認しましょう。

上顎前突(出っ歯)

上の前歯が下の前歯よりも飛び出している状態です。実際には上顎の骨の成長が悪く前歯が前傾している状態で、更には下顎が後退し、ますます上の前歯が飛び出しているように見えることが多くあります。

下顎前突(受け口)

下の前歯が前に出ている状態です。受け口は矯正治療の中でも管理・治療が難しいと言われています。

開咬(かいこう)

奥歯で噛み合わせたときに前歯が開いたままになる状態です。上と下の歯の間に舌が入り込み、歯が噛み合わなくなってしまうことが考えられます。

叢生(そうせい)

歯並びがガタガタしている状態のことです。歯が何本か重なっている状態や八重歯も叢生です。

八重歯とは、犬歯が叢生によって飛び出している状態のことを言います。上の歯の場合は犬歯が最後に生え変わるため、生える場所が限られていることで外側に飛び出してしまいます。

小学校高学年になり、犬歯が八重歯になってびっくりしてしまう方も中にはいらっしゃいますが、犬歯が八重歯になるかどうかは小学校低学年のうちに十分予測はつきますので、早めに歯科医院に相談することをおすすめします。

顎の発達に問題があるだけでなく、永久歯が先天的にない人が増えています。日頃から指しゃぶりをしている場合も不正咬合になる可能性があるのでお子さまのことをしっかりと観察しましょう。

見逃せない不正咬合のサイン

不正咬合の子どもたちに良く見られるサインがあります。

口呼吸をしている

言葉を喋るようになると口から息を吸うようになり、風邪などで鼻が詰まることで鼻呼吸では足りず口で呼吸をするようになってしまいます。

口呼吸をしていると、空気中のばい菌が喉から体内へと入り込みやすく、免疫力が低下したり、アレルギーを起こしやすくなったりします。また、口の中が乾燥しやすく虫歯になりやすい環境を作ってしまうことになります。

他にも、無呼吸症候群などの睡眠障害を引き起こすことがあります。

いつも口が開いている

口が常に開いた状態では、唇の筋肉が発達不良になり唇を閉じることが出来なくなってしまいます。また、前かがみの姿勢にもなりやすく、背骨が曲がったまま成長してしまう可能性もあります。

寝ているときに口が開いていることやいつも口がポーっと開いているようであれば、早めに歯科医院に相談しましょう。

良く噛まずに食べている

食べる際に良く噛んでいないと、口周りの筋肉や顎の成長に悪影響を与える上に、消化不良を起こしたり、そのため食中毒を起こす原因となってしまいます。

幼児期は脳が発育途中であるため、良く噛むことによって顎を発達させ口の中を広げることが可能です。ご家庭でどのように食べさせるかが顎の発達に大きく関わっています。

バランスの良い献立で、薄味を心がけ1口30回は噛むようにするのが理想的です。

食事中にお水など飲み物があると良く噛まずに流し込んでしまうことがあるので気をつけましょう。

不正咬合は治療できます

上記の中でお子さまに当てはまることがあれば、不正咬合の可能性があります。

不正咬合は専門治療である「顎顔面矯正治療法」で治療することができますので、少しでも心配なことがあれば不正咬合の専門医に相談しましょう。

顎顔面矯正治療法は歯を支えている骨や顎の骨、頭蓋骨などを取り巻いている歯肉や頬などの組織までをしっかりと考慮した上で行われる矯正治療方法です。

健全な骨の成長を促し、健康で美しい歯並びへと導いていくことができます。

最後に

いかがでしたか?

今回は不正咬合についてお伝え致しました。

不正咬合が見られる状態では、歯並びが悪くなってしまうだけでなく、あごが前後にずれて顔のバランスが悪くなってしまいます。すると食べ物を上手く噛むことができないこと、飲み込めないこと、喋りにくいことや鼻で呼吸ができないことによって口呼吸になってしまう、姿勢が悪くなるなどさまざまな悪影響が全身に出てしまいます。

矯正治療では、装置を使用することによってあごの発育に問題がある部分を正常に戻し、機能を訓練することによって歯並びを良くすることができます。歯並びだけでなくお顔のバランスや呼吸、姿勢などの機能の改善を行うことができます。

お子さまの生涯の健康を守るためにも、不正咬合のサインを見逃さず、普段は目に見えない口の中の状態もしっかりと観察してあげましょう。

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