歯を健康に育てるためのおやつの基礎知識 | 歯と健康のラボラトリー

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歯を健康に育てるためのおやつの基礎知識

小さな子どもは毎日目まぐるしく成長しますが、消化器が小さいため大人のように1日3回だけの食事では栄養を満たし切れず、食事と食事の間に1~2回の間食をすることが必要とされてきました。

しかし近年では子どもの栄養状態が向上している為、間食に対する考えも変化しつつあります。

間食には市販のお菓子を与えているというケースが多く、結果として間食の過剰摂取が原因で肥満や虫歯になりやすい状態になっていると考えられています。また、ダラダラと食べていると食事の時間にお腹が空かないなど食事のリズムが乱れてしまいやすくなるのです。

子どものおやつとなる間食は栄養補給(補食)の意味だけでなく、喜びと休息を与えるとともに親子の触れ合い、友達とのふれあいのためにも重要です。そのため今回は子どもの歯を守るためのおやつについての基礎知識をまとめていきます。

歯のことを考えずにおやつを与えていたという方もいらっしゃるかも知れません。この記事がおやつについて見直すきっかけになればと思います。

Contents

現代の間食について

間食は、1日3回の食事の間に食べ物を食べることを言います。

日本人がいつから1日3回の食生活になったのかは定かではないですが、明治時代にはすでに3回の食事が定着していたと考えられています。

終戦後から昭和の小児科の教科書では間食はおやつと同じ意味になっており、幼児に必要な栄養補給と息抜きや楽しみの一つとして記載されていました。しかし最近の教科書では間食やおやつについての記載はなく、代わりに肥満についての記載があります。

間食は感染症や栄養失調で乳児が死亡する率が高かった時代には栄養補給と楽しみ、休息などの意味で受け入れられていました。しかし栄養が豊富で肥満・欠食など食生活の乱れが問題視されている現代では、不適切な間食は好ましくないと捉えられているのです。

おやつの出し方

本来おやつは江戸時代に一日二食だったために八つ刻に間食をしたことが由来となっている言葉です。戦後の食糧が貧しかった時代にカロリーを摂取し栄養補給をするという意味がありました。そういう意味では現代は無理におやつを与える必要がないのかもしれません。

しかし、いつでもどこでも食べ物が手に入る飽食の時代でも、十分な栄養が摂れているとは限らず、量は十分でも質的な栄養失調が問題となっています。

3度の食事で十分な栄養が摂れない場合は、おやつも大切です。

またおやつは、休息や家族や友達とのふれあいの時間になり、楽しく味わう時間でもあるので、子どもの心の成長のためにも重要なことです。

おやつを与えるのは一日一回で、時間を決めて食べるようにすると良いでしょう。また、寝る前の飲食はやめましょう。

3歳までに味の好みが決まりますので甘味嗜好にならないよう、甘味の強いものを少なくすることが大切です。特に代用甘味料の使用は、その時は虫歯予防になりますが、甘味嗜好がつきますので、自分で買い食いをする頃から虫歯で悩むようになってしまう可能性が高くなりますので注意しましょう。

成長に合わせたおやつを選ぶ

おやつに限らず食物を咀嚼するには健康な歯が必要不可欠です。

歯はあごの骨の中で歯根膜という線維状の組織で支えられ、ハンモックのような状態になっていますので少し動きます。

物を噛むと歯根膜に圧力を感じる受容体があり、受容体によって脳へ情報を伝達して柔らかい食品か硬い食品かを瞬時に認識ます。そして食べ物の硬さに合わせたちょうど良い力で噛むことができる仕組みになっています。

必ずお子さまの口の中の状態をチェックし、奥歯が生えているか、永久歯に換わっているかなどをしっかりと確認しながら味覚の発達、脳・身体の発達を促す食事や間食を与えましょう。

間食は濃い甘味で柔らかな食感の食品のイメージが強いですが、豊かな食生活を育むためには種々な味と食感を経験させることも大切なのです。

虫歯になりやすいおやつとそうでないおやつ

お子さまの歯や身体の健康を考えた理想のおやつは、素材の持つ自然な味を活かした手作りのものが望ましいのですが、毎日忙しい親御さんはなかなかそんなことはしていられませんよね。おやつには市販のものを利用しているという方も多いでしょう。

市販のお菓子を選ぶときに気を付けなければならないのは、「虫歯はどのようにしてできるのか」ということです。

お口の中に糖分を沢山含んだ食べ物が残っている状態では、菌が活動して酸性の物質を出し、虫歯になりやすい環境になってしまいます。お口の中に食べ物がなくなると、唾液が酸性物質を洗いなし、虫歯になりにくい状態を作ります。

つまりお口の中に残りやすいおやつは虫歯になりやすい、歯の健康を損ねてしまう可能性の高いおやつということになります。

  1. 砂糖の多く含まれているもの
  2. 食べ終わるのに時間のかかるもの
  3. 歯にくっつきやすいもの
    (食べ終わっても、歯にくっついてまま長時間お口に残っていると、いつまでも酸性状態が続きます)

砂糖を多く含み、食べ終わるのに時間が掛かると言えば、歯にくっつくアメやキャンディ、キャラメル、ガムなどは虫歯になりやすいお菓子と言えます。

その次に砂糖を多く含み歯にくっつくチョコレート、ビスケット、クッキー、ケーキなどが挙げられます。

アイスクリームやプリン、ゼリーはすぐに食べ終わり、歯にくっつきにくいので、どちらかと言えば虫歯になりにくいと考えられますが、砂糖を多く含み大人になっても習慣化しやすいので、気を付けたい食品です。

せんべい、クラッカーは甘く砂糖が少ないので、大丈夫だと思われがちですが、これらもほとんど糖質で、歯にくっつきやすいので注意が必要です。

また、スナック菓子やポテトチップスも同じで、更に化学調味料の中毒性、トランス脂肪酸の問題もあり、習慣化します。

では、どんなおやつが良いのでしょうか?

おやつの補食という意味も考えて、できるだけ子どもたちに必要な栄養が摂れるものが理想的です。

子どもは成長が著しく、たくさんのタンパク質が必要なので、卵やナチュラルチーズ、納豆、ナッツ、小魚や唐揚げ、季節の果物を少しなどおやつを上手に利用して、健康な身体を作っていきましょう。

子どもの虫歯を防ぐおやつのポイント

おやつはあくまでも3度の食事を補うためのものです。甘いものばかり与えてしまえば肝心な3度の食事の時に食欲がなくなってしまいます。

味覚が発達する3歳くらいまではお菓子をあまり食べさせないようにしましょう。味を知らなければ欲しがることもありません。小さい頃から正しい食習慣を身に付けることが大切です。

  1. 量を与えすぎない
  2. 時間を決めて食べ、ダラダラ食いを防ぐ
  3. 栄養のバランスを考えたおやつにする
  4. 甘いものお菓子類を与え過ぎない
  5. スポーツ飲料やジュースを与え過ぎない
  6. 噛みごたえのあるものを与え咀嚼を促す
  7. 買い食いをさせない(甘いものを選ばせない)

まとめ

むし歯は食生活の影響を非常に大きく受けることが分かっているため、おやつのコントロールがうまくできないと次々にむし歯になってしまうことになります。

大切なお子さまの歯を守るためにはまず、おやつの食べ方やブラッシング法の確認が最優先事項です。

むし歯の治療と同時に、食事法を確認・改善し、定期的歯科医院でのチェックを行いクリーニングしてお口の環境をむし歯になりにくい環境に整えていくことで、永久歯でむし歯が0本という目標が見えてくるのです。

歯磨きだけでなく食生活を今一度見直し、歯の健康な成長を見守りましょう。

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