新型コロナウィルスとの関係も1年以上!
ワクチンの予防接種も始まっています。
最初は手探りで恐怖を感じていた生活も、いろいろな真実がわかってきて、 New Normal とか 新しい生活様式というような生活が当たり前のようになってきています。
それでもまだまだ、感染者数は増えたり減ったり、ここでもう一度、新型コロナウィルスについて考えてみましょう。
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コロナウィルスって何?
太陽のコロナを知っていますか? 太陽の最も外側にある大気の層で冠(かんむり)状に見える部分です。
コロナウィルスは表面からタンパク質の突起(スパイク)が突き出しており、それが太陽のコロナに似ていることからコロナウィルスと言われています。
コロナウィルスは、東アジア土着のウィルスで、日本にも、もともとコロナウィルスは住んでいました。
私たちが子どもの頃からかかっている風邪の主な原因ウィルス(流行期は約35%)のひとつです。
私たちの細胞は2本のDNA遺伝子が2重らせん構造をしており、どこか一部が壊れても、反対側のDNAが修復して元通りにすることができます。
しかし、コロナウィルスは1本のRNA遺伝子しか持っていませんので、一部が壊れると修復することができず、突然変異を起こしやすいのです。
ウィルスは細胞ではないため、自己増殖ができません。他の生物の細胞内に侵入して細胞内のRNA合成機能を乗っ取り、自分の遺伝子のコピーを作らせて増殖していきます。
コロナウィルスはACE2という受容体を入口として細胞に感染します。
舌の表面や鼻の粘膜にもACE2受容体はありますので、そこに感染すると、「味覚がない!」「臭いがわからない!」という症状が出ます。
肺の細胞に感染すれば、肺炎を起こします。
腸管は免疫の約70%をコントロールしており、腸内細菌が重要な役割を果たしています。腸管にもたくさんのACE2受容体が存在しますので、腸内で感染すれば、腸内細菌バランスは崩れ、免疫に大きく影響し、下痢や胃腸炎を起こします。
皆さんも風邪を引いたときに経験があると思います。
このようにACE2受容体は全身に広く分布しているのですが、血管の細胞壁にあり血圧を制御する働きがあることが昔から知られていました。
ACE2受容体は高血圧、糖尿病、腎臓病、高齢者で増加し、低年齢の子どもにはわずかしかありません。
そのため子どもたちの感染は少なく、重症化しにくいと考えられています。
新型コロナウィルスはどう違うの?
今回の新型コロナウィルスは感染力が強く、変異の速度が速いことが報告されています。
2020年の7月時点で約6000種以上の突然変異株が確認されており、感染した人の体内で約2週間毎に新しい変異ウィルスが生まれているといわれています。
日本にも2019年の暮れころから、新型コロナウィルスが入ってきていました。しかし、欧米に比べ、感染速度も遅く、重症度も低かったのは、日本にはもともと土着のコロナウィルスがいて免疫的に有利であったこと、最初に上陸した弱毒株によって免疫が活性化(集団免疫)されたため、後に入ってきた強毒株に対する抵抗力がつき、被害が抑制されたためと考えられています。
ウィルス感染症と免疫
風邪には抗生物質が効かないって効いたことがありますよね。
先ほども書きましたように、私たちがよくかかる風邪もウィルス感染です。
それでは私たちはどうやって風邪を治しているのでしょうか?
私たちはまず、自分たちが持っている自然免疫力で粘膜から侵入したウィルスが感染するのを防御します。白血球の中の好中球やマクロファージがウィルスを飲み込み、また、全身を常にパトロールしているNK細胞(リンパ球)がウィルスを直接攻撃し、感染した細胞も破壊します。
その後、Bリンパ球が中心となって抗体を作ることによってウィルスに対抗する免疫(液性免疫)とTリンパ球が中心となって感染した細胞を直接攻撃して排除する免疫(細胞性免疫)によって、ウィルスを撃退するのです。
これらのリンパ球はウィルスの記憶を持ったまま体内に長く留まっています。そのため、次に同じようなウィルスにさらされた時、すぐに免疫が再活性化して撃退し、かかりにくくなったり、軽く済んだりするのです。(交差免疫)
また、抗体を持つ人が一定の割合を超えると、ウィルスがその集団に入ってきても、感染しにくくなります。(集団免疫)
ワクチン接種は多く人が免疫力を持つことで、自分が感染しないようにするだけでなく、周囲の人に感染させたりしないために行っているのです。
ワクチンて効くの?
新型コロナウィルスは変異の速度が速いとお話しましたが、変異してしまったらワクチンて効くのでしょうか?
一度感染したら、もう感染しないのでしょうか、またウィルスが変異したらまたかかってしまうのでしょか?
新型コロナウィルスのIgG抗体の半減期は約36日間で、数ヶ月で抗体価は下がってしまいます。しかし、先ほどもお話しましたように、リンパ球には免疫の記憶が残っていますので、再感染のリスクは下がり、ワクチンや感染後の抗体の効果はあるのです。
ワクチンに関しては慎重に安全性を確認する必要があり、特に変異速度の速いコロナウィルスにおいては、抗体依存性感染増強(ADE)が起こりやすいと言う見解があります。十分理解した上で、必要な人が慎重に使用することが大切です。
まとめ
今回は新型コロナウィルスの基本的なことをお話しました。
長期化している新型コロナウィルス感染症ですが、ワクチンを接種したとしても、感染予防の第1は、感染をさせないための自然免疫の強化です。
また、ウィルスの侵入経路である粘膜を整えることも必要で、コロナの状況で遠のきがちな歯科医院でのメインテナンスも本来とても重要なのです。
参考文献:本当はこわくない新型コロナウィルス 最新科学情報から解明する「日本コロナ」の真実