口の中のカビ!?口腔カンジダ症の原因や症状 | 歯と健康のラボラトリー

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口の中のカビ!?口腔カンジダ症の原因や症状

睡眠不足やハードな仕事が続き、精神的にも体力的にも疲労している時や、風邪を引いて免疫力が低下しているときにふと口の中を確認すると白い苔のようなものがついている・・・そんな経験はありませんか?

口内炎とはまた違った痛みがあり、白くなっていれば”口腔カンジダ症”かもしれません。

普段じっくりと口の中を確認することはないかも知れませんが、暗くて狭い口の中の健康もご自身でしっかりと管理する必要があります。

ここでは口腔内の粘膜疾患の一つである「口腔カンジダ症」の原因や症状についてお伝えしたいと思います。

Contents

口腔カンジダ症とは?

口腔カンジダ症とは日和見感染症の一種で、口腔内に常に存在しているカンジダ菌が何らかの原因によって異常に増殖し、口腔内の粘膜に白い苔のようなものが現れたり痛みなどの症状を起こす口の中の病気です。

カンジダ菌は多くの人間の口の中に存在していると言われており、免疫力が低下している場合に特に起こりやすいですが、健康体であれば感染しても発病することはありません。

日和見感染とは体に常在してはいるものの、力の弱い菌が免疫力が低下しているときに増殖し、力を増して悪さをするものです。そのため免疫機能が十分でない新生児や乳幼児、免疫力が低下している高齢者などに多く見られます。また、エイズの時に見られる症状としても注目されています。

口腔カンジダ症は口の中に白い苔のようなものが付着することが多いですが、これはガーゼなどで拭うと簡単に取り除くことができるものです。万が一簡単に取り除くことができないという場合には、口腔カンジダ症ではない可能性が高くなります。

口腔カンジダ症の原因

口腔カンジダ症を引き起こす菌は、約100種類もあるカンジダに属する真菌の中の、カンジダ・アルビカンスというカビであることが多いです。近年ではカンジダ・グラブラタという菌によって発症することも増えているようです。

カビと聞くと驚くかも知れませんが、口腔カンジダ症の原因となるカンジダ菌は誰もが元々持っているものです。健康な状態の人の場合には異物や細菌を排除する免疫力が正常に機能し、ある一定数以上は菌が増殖することはありません。しかし免疫力が下がったときにカンジダ菌の増殖を抑えることができず、カンジダ症を発症してしまいます。

それでは具体的にどういったことが口腔カンジダ症を発生させやすくする要因となるのでしょうか。

免疫力が低下する可能性のある病気

直接的に免疫力を低下する原因になる病気に、エイズがあります。エイズはHIV(ヒト免疫不全ウイルス)が人間の免疫系を働かないようにしてしまい、日和見感染を起こしやすくなってしまう病気です。また、糖尿病患者さんや肝臓病患者さんの場合も細菌感染しやすくなり、化膿したり怪我の治りが悪くなりやすい状態になってしまうため、口腔カンジダを引き起こしやすくなる可能性があります。

エイズや糖尿病、肝臓病のほかに悪性腫瘍も体力が下がり、免疫力が低下してしまう病気です。悪性腫瘍の場合には、副作用として免疫力の低下が起こる抗がん剤治療や放射線治療が行われるため、結果として口腔カンジダ症を発症することがあります。

長期間の抗菌薬の服用

病気を治療するための薬にはさまざまな種類があり、症状に応じて必要な薬が処方されます。病気を治す薬の中には、長期間服用を続けると免疫力が低下する薬があります。

免疫力抑制剤という免疫そのものの働きを低下させるための薬や、副腎皮質ステロイド剤という長期的に服用することで免疫力が低下する薬などを使用した治療を受けている場合には、口腔カンジダ症を発症することがあります。

また、抗生物質の長期服用によって、正常細菌叢が変化し,抗生物質に不感受性の菌が増殖したりすることによって、カンジダ症になることもあります。

口腔内の乾燥

唾液には細菌を洗い流す、粘膜を保護するなどの重要な役割があります。そのため口呼吸などの影響で唾液の分泌が少なくなると、粘膜の抵抗力が下がり口腔カンジダ症を引き起こしやすくなります。

また、唾液が減少し口腔内が乾燥してしまうと口腔内に傷ができやすくなり、その傷口からカンジダ菌が侵入してしまいます。

ドライマウスの方は口腔カンジダ症を引き起こしやすくなりますので注意しましょう。

口腔内の清掃不足

健康な状態であればカンジタ菌が過剰に増えることはないとは言え、口腔内のケアが行き届いていなければカンジダ菌に限らずさまざまな菌が増殖し、細菌の温床となってしまいます。

特に入れ歯を使用している方の場合、毎食後綺麗に洗うようにしなければ表面にカンジダ菌が付着し繁殖してしまいます。口腔カンジダ症を発症させないためにも、歯磨きや入れ歯のケアをしっかりと行い、口腔内の衛生状態を清潔に保つことがとても重要です。

口腔内の清掃はあくまでも消毒ではないため、口の中の皮膚や粘膜を保護する役割を果たしている菌を守るためにも、アルコールなどを含むうがい薬を長期的に使用するのは控えましょう。

口腔カンジダ症の治療

口腔カンジダ症は抗真菌薬による薬物治療が行われます。抗真菌薬には種類があり、口腔カンジダ症にはイミダゾール系抗真菌薬が使用されます。

真菌の細胞に働きかける抗真菌薬は、真菌の増殖を抑え殺菌します。副作用がある薬物ですので医師の指示に従い治療しましょう。

口腔カンジダ症はお口の中のことですので、一般的には歯科や口腔外科が専門になります。口腔カンジダが疑われる場合には、白い苔状のものを採取し細菌検査によって診断を行います。

抗真菌薬で治療しカンジダが消失した後は、再発防止のために口腔内を清潔に保ち、口腔内が乾燥しないように心がけましょう。

まとめ

いかがでしたか?口の中にカビ菌が繁殖してしまうなんて恐ろしいですよね。

口腔内の状態は健康状態を示しており、口腔内に何か異常がある場合には全身の健康状態に何かトラブルが起きている可能性があります。

健康状態が良好に保たれている場合には発症することはまずない口腔カンジダ症ですが、万が一口の中の粘膜部分に白い苔のようなものが付着していて、指で拭えば取り除くことができるような場合には口腔カンジダ症かも知れません。

カンジダ症の場合には健康状態が悪化していることを意味しているため、治療を受けることはもちろん、生活習慣に注意し健康管理を徹底し再発を防止しましょう。

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