歯と健康のラボラトリー

豊富な知識と正確な技術が求められる”歯科技工士”の仕事について

多くの方が一度は歯科医院に行った経験があるでしょう。歯科医院では歯科医師に診てもらい、歯を削ったり抜いたりとさまざまな処置が行われます。また歯のクリーニングや歯磨き指導などを歯科衛生士から受けることもあります。

歯科医師や歯科衛生士とは治療の際や受付などで触れ合う機会があるので、仕事内容に関してはなんとなく想像がつくかと思います。しかし歯科医師や歯科衛生士のように患者さまと直接触れ合うことが無く、患者さまの歯や口腔内の健康を影から支えている”職人”がいるのをご存知でしょうか。

その職人が「歯科技工士」です。

歯科技工士という名前を聞いたことがある方も、初めて聞いたという方もいらっしゃるかも知れませんね。そこで今回は歯科技工士のお仕事について詳しくご紹介したいと思います。

今、皆さんが使用している入れ歯や矯正装置などは、どこかの歯科技工士の手作業で作られたものかもしれません。

歯科技工士とは

歯科技工士とは歯科医師の指示書に従い、口腔内の健康状態を改善するための人工物の作成・加工・修理をする職業です。全国統一で実施さている歯科技工士国家試験に合格し、厚生労働大臣の指定登録機関に申請し、名簿に登録した者だけが歯科技工士の免許を持つことができます。

資格を持っていてもすぐには歯科技工士として一人前とは言えません。技術職である以上は技術習得までには5年程の経験が必要とも言われています。

歯科技工士は患者さまを診療する場所に出てくることがあまり多くないため、歯科医師が治療の際に抜いたり削ったりした歯を補う補綴物は、歯科医師が自ら作成していると思っている方も多いかも知れません。しかし実際には歯科技工士が作製しているケースが多いのです。

高度な精密技工技術だけでなく、患者さまの状態や要望に応じた歯の形や色を把握する必要があるため、非常に繊細で審美感覚が問われる仕事でもあります。

歯科技工士は歯科修復物を作成することはできますが、実際に患者さまに装着することは出来ません。歯科修復物を装着することは医療行為にあたるため歯科医師が行うことになります。

私たち人間は呼吸や咀嚼、嚥下機能だけでなく発音や姿勢などによって審美性を保っています。そんな審美性を維持するために重要な歯を守ったり、歯の機能を回復するためにも、歯科技工士はなくてはならない重要な存在なのです。

歯科医師が歯科技工士を必要とする理由

先ほどお伝えしたように、歯科技工士は国家資格が必要です。歯科医師以外には、歯科技工士のみが歯科技工業務を行うことができると定められています。

歯科医師も歯科技工の教育を大学で受けているため、歯科技工業務を行うことができると定められています。しかし専門的な技術が求められる作業あるため、歯科技工に関することは歯科技工士に依頼するのです。

被せ物や入れ歯などの作製は歯科技工士、患者さまへの装着は歯科医師という風に役割分担を行い、より精度の高い治療を患者さまに提供するために連携プレーをしているのです。

歯科技工士が作製するもの

歯科医師が虫歯を削ったり、入れ歯を入れる箇所の型取りを行います。そしてその型取りを元に歯科技工士が患者さんの歯や口腔内の状態に合わせて作製することになります。

歯科技工士が作製する差し歯や入れ歯、被せ物など歯の状態を改善するための装置を歯科修復物と言います。また、歯列矯正治療で使用する装置や寝ている時の歯ぎしり防止のためのナイトガードなど口の中の治療と関わりのある数多くの物を歯科技工士が作製します。

クラウンやインプラント、マウスガードなどさまざまなものを作製し、患者さんの口腔内の状態を改善するために日々作業しています。

歯科修復物を作製する際に使用する材料には金属・プラスチック・セラミックなどがあります。患者さまの口の中に入れることになるものですので、当然安全で安心できるものを使用し、作製しなければなりません。

歯科技工士の作業場所

歯科技工士は歯科医院だけでなくさまざまな場所で作業をしています。

歯科医院

歯科医院には、専属の歯科技工士が在籍している場合があります。歯科医師や歯科衛生士と接しながら作業を進めていくため、連携が取りやすいのが特徴です。

歯科医院に歯科技工士が在籍している場合には、直接患者さまの歯の色や形態を確認したり、患者さまの要望を聞いたりすることがあります。

歯科技工所

半数以上の歯科技工士が歯科技工所で働いています。歯科医院や病院などから受けた注文を、指示書を元に作製しています。中には独立して歯科技工所を開くという歯科技工士もいます。

病院

歯科技工室がある病院で働いている歯科技工士もいます。

全ては患者さまの健康のための作業

歯が無ければ美味しく食事をすることができませんし、人前で楽しく笑ったり会話することもできなくなってしまう可能性があります。歯科修復物がなければ、患者さまはとても困ってしまいます。また、歯がないことをコンプレックスに感じて過ごしている方も多いでしょう。

直接患者さまと触れ合う機会が無くても、歯のことで困っている患者さまの手助けになればと考えている歯科技工士が多いのです。歯の機能を回復し、美しい状態を取り戻すために歯科修復物を作製しています。

作業は目に見えませんが、歯科技工士は歯科医師や歯科衛生士と同様に、患者さんが健康になるための手助けを行っています。今回の記事で影の支えである歯科技工士の仕事を少しでも知って頂ければ幸いです。

まとめ

歯科技工士が作製するのは、患者さまの今後の人生を共に過ごしていくことになる”体の一部”になる大切なものです。

ほんのわずかなズレが患者さんにとっては不快なものですし、最悪の場合健康状態にまで悪影響を及ぼしてしまうことにもなりかねません。だからこそ一つ一つ丁寧に扱う姿勢や、正確さが必要不可欠となります。

医学的な知識に基づいた正確な作業を丁寧に確実に行っていくことで、患者さまお一人お一人の状態にぴったりの歯科修復物を作製することができます。患者さまが安心して使用できる歯科修復物を作製するためにも歯科医師との信頼関係も非常に重要です。

高齢者が増加する近年では、出来る限り長い期間ご自身の歯で食事をしたいと考える方も増えています。歯科技工士の技術は今後も必要とされ続けるでしょう。

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