今までは全く何もなかったのに、ある日突然歯がしみるという経験をしたことはありませんか?
アイスや飲みものなどの冷たい物を食べたり、冷たい飲み物を口にしたとき、歯ブラシの毛先が当たったときなどに歯がしみたり痛んだりした場合には、もしかしたら「知覚過敏」を発症しているかも知れません。TVCMなどでも紹介されているので、知覚過敏をご存知の方も多いでしょう。
この歯がしみる知覚過敏という症状は、歯の表面のエナメル質と呼ばれる歯の頭の部分を覆っている白くて硬い部分が、何らかの原因によって削れてしまい、象牙質が露出してしまうことで発生します。
今回は知覚過敏になる原因と正しい対策方法をお伝えします。
知覚過敏になってしまう原因はひとつではなく、さまざまなことが考えられるのでその原因をしっかりと把握し、対策しましょう。
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歯がしみるのはなぜ?
歯がしみてしまうのは、私たち人間の身体の中で最も硬いと言われている歯のエナメル質が、さまざまな原因によって削られていくことで神経のある象牙質が露出し、歯の神経の歯髄に繋がっている象牙細管の穴が露出してしまうことで起こります。
ただしエナメル質がはがれたから必ず知覚過敏になるというわけではありません。歯肉に近いエナメル質が剥がれると知覚過敏になる可能性が高いです。
象牙質とは歯のエナメル質の内側にあるやわらかい組織で、象牙質には数千本の象牙細管が歯の中心に向かって存在しています。この象牙細管の穴に冷たいものなどが入り込むと、歯の内側の神経に伝わり”刺激”を感じ取り、結果として瞬間的に歯がしみるという感覚が起こるのです。
初期の虫歯でも同様の感覚が起こることがありますが、虫歯の場合とは異なり、しみたり痛む時間が短くすぐに治まるのが知覚過敏の特徴です。虫歯の場合には放置してしまうと徐々に痛みが強くなりますが、知覚過敏の場合には痛みが一定で、何もしていない時にはしみたり痛むことはありません。
だからといって知覚過敏を放置してしまうと、次第に症状が進行し冷たいものだけでなく温かいものもしみるようになることがあります。
知覚過敏を引き起こす原因
知覚過敏を引き起こす原因にはさまざまなことが考えられます。
歯磨きの圧が強い
毎日行っている歯磨きですが、その方法を誤るとエナメル質を傷つける原因になる可能性があります。
歯ブラシの硬さや、力加減によっては歯をゴシゴシと強く磨いてしまい、エナメル質の負担になっているかも知れないのです。圧を掛け過ぎると毎日の積み重ねで徐々にエナメル質が薄くなり、知覚過敏になってしまいます。
歯垢の溜まりやすい部位を念入りに、軽い力でやわらかめの歯ブラシを使用して行うようにしましょう。
歯ぎしり
歯ぎしりの癖があると、エナメル質がはがれやすくなります。
歯ぎしりは不安やストレス、疲れが原因となることが多く、歯ぎしりをすると直接歯のエナメル質同士が擦れてしまうので、エナメル質がはがれてしまいます。直接当たっていない所でも、エナメル質のうすい場所(歯と歯肉の境目の歯頚部)では、力が間接的に伝わってエナメル質が欠けてしまうことがあります。
歯ぎしりがひどい場合には、エナメル質だけに留まらず、歯の周囲の組織にも負担がかかり歯を支えている歯槽骨までも破壊してしまうことがあります。知覚過敏だけでなく歯周病の原因になることもあり、その場合には歯ぎしりを改善しない限りは歯周病も治らないと言われています。
寝ている間などご自身が気が付かないうちに歯ぎしりをしてしまっている可能性もありますので、マウスピースで歯ぎしりで歯を傷つけてしまわないように保護しましょう。
噛み合わせの悪さ
歯の噛み合わせが悪い状態では、ある1点に負荷が掛かってしまうことがあります。一部の歯だけに負荷がかかると歯が削れてしまい、知覚過敏を引き起こす可能性が高まります。
知覚過敏を予防するためにも歯列矯正は非常に重要な治療なのです。
酸性の食品の過剰摂取
エナメル質は私たち人間の身体の中で最も硬い部分ではありますが、酸にはめっぽう弱いという特徴があります。そして酸によってエナメル質を溶かしてしまう症状を酸蝕歯と言います。
私たちが頻繁に食べる食品の中には酸が入っているものが数多く存在します。例えばコーラなどの炭酸飲料や、ビールやワインなどのアルコール飲料、梅干しや酢の物、柑橘系のフルーツなども酸性です。何気ない食生活で知らず知らずのうちにエナメル質を溶かしてしまうことがありますので、酸性のものを過剰に摂取したり、長時間口に含んだりしないように注意が必要です。
歯科医院での治療後
歯科医院で使用するホワイトニングの薬剤によって知覚過敏を引き起こすケースや、口の中に溜まった歯石の除去を行った後に歯がしみる症状を引き起こすこともあります。ホワイトニングの治療期間が終わればその症状は改善されますし、歯石の除去後のしみる感覚も一過性のものです。
栄養状態
エナメル質が同じように削れていても、全くしみない人もいれば、そんなに削れていなくても、とてもしみる人もいます。また、同じような歯ぎしりをしていても、歯が削れない人もいれば、歯ぎしりが少なくても歯が欠けやすい人もいます。
知覚過敏を感じる神経も削れるエナメル質や象牙質も私たちが日常で食べているものが吸収されて出来ています。きちんと栄養が摂れて、吸収できていないと歯が弱くなったり、神経が過敏になったりすることがあります。
まずは自分の身体を整えることも大切です。
正しい知覚過敏対策
歯がしみたり痛む場合には、知覚過敏である可能性がありますが、素人判断で知覚過敏と断定し放置するのは危険です。
冷たいものがしみたり歯に異常を感じた場合には、なるべく早めに歯科医院に相談しましょう。
歯科医院で知覚過敏であると診断されたら、まずは上記に示したような、知覚過敏の原因となることに注意しましょう。歯ブラシの圧に気をつけ、酸性の食品を控えましょう。そして、タンパク質、ビタミン、ミネラルなどしっかり栄養を整えることが必要です。その上で、知覚過敏ケア用の歯磨き粉に替えたり、唾液の分泌を促すようガムなどを噛んだりして、まずはご自宅で対策されるのがベストです。
しかし今回は”正しい”知覚過敏対策として歯科医院で行っている治療をご紹介します。
知覚過敏の薬剤を塗る
歯科医院には知覚過敏の薬が用意されています。
何度か繰り返し塗ることによって知覚過敏が治まっていきますが、知覚過敏の薬には種類があるのでどういった薬なのかを確認しましょう。
コーティング剤を塗布する
歯のしみる部分の表面にコーティング剤を塗り、しみる・痛むなどの症状を緩和させます。
このコーティング剤が剥がれてしまうと元の状態に戻ってしまうので、再度塗布することもあります。
プラスチックやセメントを詰める
歯の厚みが無くなり、歯髄に刺激が伝わりやすくなっている場合にはコンポジットレジンなどの歯科治療用材料を詰めて厚みを補うことができます。
場合によっては知覚過敏を起こしている部分の表面を削る必要がでてきます。
レーザーを照射する
歯のしみる部分に、神経そのものの感度を下げる効果のあるレーザーや、象牙細管を塞ぎ刺激が伝わりにくくする効果のあるレーザーを照射することで、知覚過敏の症状を緩和します。
レーザー治療は保険外治療となります。
まとめ
知覚過敏はさまざまな原因で起きてしまうことがわかりました。
「もしかして知覚過敏かも?」と思うような症状があれば、なるべく早めに歯科医院に相談し、正しい対策をとりましょう。