歯は、私たちの暮らしに深く関わっています。
たとえば、美味しくご飯を食べたり、スムーズに会話をしたり、歯を食いしばったりできるのも、健康的で美しい歯が揃っているからです。いつまでもご自身の歯で、快適で豊かな人生を過ごすためにも、歯の健康をしっかりと守りましょう。
しかし、海外と比べ、日本人は歯への意識が低く、40歳以上の日本人の約8割が「歯周病」に患っていると言われております。「国民病」と呼んでも過言ではない歯周病にはとくに気を付けたいですよね。
今回は、そんな歯の健康を保つために効果的な再生療法の1つとして話題の「PRGF 骨再生治療」についてご紹介します。ぜひご参考にしてください。
Contents
再生療法とは?
まず、「PRGF 骨再生治療」の前に、再生療法についてご説明します。
再生療法とは、細胞の再生する力を使い、失ってしまった機能を取り戻す医療のことを言います。
歯の再生療法とは、歯そのものを元通りにするというわけではなく、歯を支えている骨を再生することを目的としています。
たとえば、「歯周病で歯を失ってしまったらインプラント治療をしよう」と考えていたとしても、インプラント治療はそもそも歯を支えている骨がないとできない治療方法です。しかし、再生療法を用いることで、1度失ってしまった土台の骨を再生し、インプラント治療を受けることが可能となるのです。
この再生療法には、GTR法やエムドゲイン法など様々な種類がありますが、今回は近年注目を集めている「PRGF 骨再生治療」についてご紹介します。
PRGF 骨再生治療とは?
PRGFとは、Plasma(血漿) Rich(潤沢) in Growth(成長) Factor(要因)の略で、増殖因子(成長因子)を多く含む血漿のことです。
血漿とは、血液に含まれる液体成分の1つで、血液の55%を占めます。たとえば、血液を試験管にとって遠心沈殿すると、下の方に赤い塊ができ、上部は淡黄色の液体となります。下の方に沈んでいる赤い塊は主に赤血球の集まりで、上部の液体が血漿となります。
この血漿の中にある増殖因子には、組織の治癒と再生を促進させる働きをする成分が血液の約3倍も含まれております。PRGF骨再生治療とは、その働きを利用して、骨や歯肉を再生させることを目的とした治療法です。
この治療法は口腔領域では、1990年代後半より報告されているものですが、最近では美容外科や形成外科での使用がテレビや雑誌などにも取り上げられており、現在最も安全で画期的な骨、軟組織を再生する技術として注目を浴びております。
PRGFはどのような時に使われるのか
このように、成長因子を豊富に含んだ血漿を利用したPRGF 骨再生治療はどのような時に使われるのでしょうか。
歯科、口腔領域に限らず、様々な分野の使用例をご紹介します。
歯科・口腔外科
抜歯後の歯肉の治癒促進、歯科インプラント治療、歯の移植治療、上顎洞挙上術、歯周病に伴う歯周組織の萎縮
整形外科
骨、筋、腱、靭帯、軟骨などの損傷時
皮膚科
皮膚の損傷や火傷を負った際
美容外科
しわとり
その他
眼科、一般外科、形成外科、血管外科など
このように、RPGFは様々な分野で取り入れられております。その理由としては、前述した通り「PRGF 骨再生治療」が安全で画期的な治療法であることが深く関係しているからでしょう。
PRGF 骨再生治療のメリット
それでは、PRGF 骨再生治療のメリットとは一体どのようなものなのでしょうか。
- 痛みや腫れの軽減
- 異物の侵入を防止する
- キズの治癒が早くなる
- アレルギーや副作用発症の確立がほぼない
- 歯科治療の幅が広がる
たとえば、PRGFを取り入れた治療を行った方と、取り入れていない治療を行った方ですと、痛み止めの数が違ってくる場合があります。
また、インプラント治療では、インプラント体の約40%の早期癒着により、成功率の向上と、治癒期間の短縮が期待されております。さらに、ご自身の血液を使用するため副作用の可能性がとても低く、患者様も抵抗なく治療を受けることができると思います。
考えられる副作用も、採血時の一過性の腕の内出血や、一時的な手の痺れなど、通常の場合は重篤なものではありません。
PRGF 骨再生治療の手順
- 採血
歯科医院では、患者様から20CC~40CC程度採血します。これは、血液検査の時と同じくらいの量です。
- 分離・処理
採血した血液を遠心分離機にかけて、血球部分と血漿部分にわけます。
- 必要な血漿部分を使用
分離した必要な血漿部分を手術部分に使用します。
PRGF 骨再生治療は、以上の手順で行っていきます。ご自身の血液を使用するため、従来の動物由来のものよりも断然安心安全でスピーディーに骨造成することができます。
PRGF 骨再生治療を受けることができない方
安心安全のPRGF 骨再生治療ですが、場合によっては受けることができない方もいらっしゃいます。
- 本人が感染症にかかっている方
- 重症心臓病方
- 腎透析患者の方
- 先天性血液凝固因子欠乏症の方
- 白血病の方
- 末期の悪性腫瘍など、疾患などを患っている方
上記の方はPRGF 骨再生治療を受けることができないので、事前に歯科医師にしっかりと相談し、ご自身に合う治療を受けてください。また、ご本人から合意を得ることが難しい場合も治療を行うことはできません。
PRGF 骨再生治療をおすすめしたい方
一方で、PRGF 骨再生治療が必要な方とはどのような方でしょうか。
PRGF 骨再生治療は、インプラント治療の方や歯周病で歯や骨が減ってしまった方、抜歯を行った部分に骨がほしい方など、骨がないことで、治療を受けることや日常生活が困難な方に非常に有効でしょう。また、アレルギーや副作用発症の心配がかなり少ないため、今まで金属アレルギーなどが原因で治療を受けることができなかった方にもおすすめです。
「骨は再生できない」と認識している方が多いと思いますが、このように、再生医療を用いることで失ってしまった骨を取り戻し、諦めていた歯の治療を受けることが可能となります。
そのような歯のトラブルを抱えている方は、ぜひ1度歯科医師に相談してください。
まとめ
いかがでしたか?
PRGF 骨再生治療を用いて、自分自身の再生能力を引き出し、失った骨や歯肉を取り戻すことが可能となりました。
日本人の80歳の残存歯数は一般的に約17本と言われており、一般的に食事や会話を楽しむことができると言われている20本を下回っていることが問題となっております。
PRGF 骨再生治療なら、ご自身の健康な歯を取り戻すことが可能となっております。速やかに病院に行き、早期治療を心掛けてくださいね。