子どもはどうしても狭い室内で走り回ったり、危ないと注意されているところではしゃいでしまったりするものです。たとえばお家の中でも、昔なら床がクッション性のある畳の場合が多かったので転倒しても大きな怪我には繋がりにくかったのですが、近年では固いフローリングが主流になっているので、転倒した際に大きな怪我を負いやすいのです。
同様に、昔よりもコンクリートが増えた屋外も油断はできません。
まだ乳歯の子どもの歯はとても脆く、柔らかいので、少しの衝撃で歯を失ってしまう可能性があります。ほんの数秒目を離していた間にお子さまが歯に外傷を負っていた…なんて事態になったらショックですよね。
お子さまが歯に外傷を負った際は、周囲の大人の正しい対処が求められます。ここでは、子どもの歯の外傷の症状、対処法についてご紹介します。万が一の時のご参考にしてください。
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歯の外傷の症状
それでは、子どもの歯の外傷についてご紹介します。
歯が欠ける
転倒や衝突により、歯が欠けてしまうことがあります。欠け方が部分的で軽度の場合でも、欠けた部分から歯髄が感染を起こすことや、歯の変色、歯肉の腫れに繋がってしまう場合があるので放っておくことはとても危険です。軽度の場合は痛みを感じにくく、油断してしまうことが多いのですが、決して軽く考えてはいけません。
また、歯が欠けて神経まで達してしまった場合は、痛みや歯肉の腫れなどを引き起こします。この時に、「少し様子を見よう」ということだけはしてはいけません。歯科医院でかぶせものをする必要があります。
歯が抜ける
欠けるのではなく、歯が完全に抜けてしまう場合があります。歯が完全に抜けてしまっても、歯周の損傷が軽度で、脱落した歯の保存状態が良かったり、受診するまでの時間が短かったりと様々な条件が良ければ再植を試みることができ、再植の予後も良好になることが期待できます。
しかし、乳歯の時期に永久歯がなくなってしまった場合は、限られた状態でしか再植を試みることができず、次の永久歯が生えるか顎の成長が止まるまでは調整のしやすい入れ歯タイプの装置を使用することが多いです。
歯がグラグラになる
衝撃を与えられることで、歯がグラグラになったり、歯肉から出血をしたりすることがあります。歯を支える骨の部分がダメージを受けた、歯根が折れた、などの原因が考えられます。
揺れが軽度の場合は、受傷した歯を安静にし、様子を見ます。揺れが重傷の場合は、両脇の歯と固定して安静を図ります。
子どもは自分から歯の動揺を訴えない場合があるので、もしお子さまが転倒、衝突した場合は必ず歯がグラグラしていないか確認してください。
歯の位置がずれる
柔らかい乳歯や生えたての永久歯は、衝撃によって歯の位置のずれや、歯がめり込むなどのトラブルが起こる可能性があります。本来は歯を元の位置に戻し、両脇の歯と連結して歯周組織の回復を待ちます。
しかし、低年齢児の乳歯や生えたての永久歯は歯根がまだ未完成な状態のため自力で正常に生えてくることが期待できるので、無理に元の位置に戻さず様子を見ることも多いです。
しかし、元の位置に戻すか戻さないかを、独断で決めることはとても危険です。
歯の変色
歯を打った後、歯が変色する場合があります。これは、神経の中の血管が損傷して充血や内出血が起こったり、歯の神経が死んでいたりする可能性が高いです。
歯の神経が死んでいる場合は、数か月して歯が徐々に黒ずんでいくので、汚れが付着しているだけだと思い放置してしまう方がいます。どちらの場合も放置してはいけません。
はしゃいで転倒・衝突してしまった子どもの歯には、このように多くの危険性があります。
歯の外傷の対処法
万が一のために、子どもの歯に症状が見られた場合の対処法を確認してください。
すぐに歯科医院に行く
外傷があった場合、様子を見ずにすぐに歯科医院に行きましょう。時間が経てば経つほど、深刻化していく可能性があるからです。
また、欠けた歯を放置していると、さらに大きく欠けてしまったり、鋭利になった部位で舌や内頬を傷付けてしまったりするかもしれません。周囲の大人の迅速な行動が求められます。
触らせない
本来あるべきところに歯がなかったり、グラグラしたりしていると、子どもは強い違和感に襲われます。思わず受傷した歯に手を伸ばしてしまいますが、そこから菌が入って炎症を起こす、動揺を悪化させてしまうなど、治療を妨げてしまうことになるかもしれません。
将来の歯の健康のためにも、歯科医院で受診するまでは現状維持を心掛けましょう。
欠けた歯を保存しておく
子どもの歯が欠けると、動転して欠けた歯にまで気が回らない…ということもあります。しかし、欠けた歯や抜けた歯は保存しておくことをおすすめします。
歯の保存状態や歯周組織の状態によっては、歯科用の接着剤でくっつけることで元通りになる可能性があるからです。欠けた歯は清潔なガーゼやハンカチに包むか、生理食塩水に漬けるか口の中に含んだ状態で歯科医院まで持参しましょう。
焦らず、冷静に対応することで、将来の子どもの歯の健康が決まります。
外傷を防ぐために
症状、対処法をご紹介しましたが、やはり怪我をしないことが1番です。
小さなお子さまがいらっしゃる場合は、クッション性のある床材にする、柔らかいカーペットを敷くなど、小さなお子さまがいらっしゃる場合はまずは柔らかい素材で満ちた環境づくりが大切です。小さいお子さまは体型上、頭が重く転倒しやすいので、歯の外傷を防ぐためにもお子さまの周りの環境を見直してみましょう。
また、指しゃぶりやおしゃぶりなどで前歯が突出してしまい、ボール遊びなどのスポーツで前歯が欠けてしまう事例が多いようです。指しゃぶりやおしゃぶりはなるべく控えさせましょう。
道を歩く時は手を繋ぐなどして、転倒や衝突を避けるために常に気にかけるようにしましょう。お子さまが怪我をするかしないかは、周囲の大人にかかっているかもしれません。
まとめ
いかがでしたか?
子どもは痛みに鈍く、また、痛みを感じても上手く伝えることができない場合があります。子どもの変化にいち早く気が付けるように、日頃からスキンシップを大切にしてくださいね。
万が一子どもの歯に外傷が見られた場合は、今回ご紹介した対処法をご参考にしてください。