顎関節症を改善するためには歯科医院でしっかりと原因を突き止め、症状に合わせて適切な治療を受けることが望ましいです。しかし顎関節症は歯科医院での治療を受けるだけでなく、日常生活において患者さんご自身が注意しなければならないこともあります。
ここでは顎関節症を予防、改善するための日常生活の注意点をご紹介したいと思います。
普段何気なく行っている習慣が顎関節症を発症する一つの因子になる可能性がありますので、今顎関節症を発症している方だけでなく、顎関節症を予防したいという方は是非参考になさって下さい。
Contents
顎関節症の予防・改善には自己管理が大切
患者さん一人一人の産まれもった体質や性格の違い、育ってきた環境の違いなどがあるため顎関節症を招く因子にはさまざまなものが考えられます。それぞれの因子が一つだけでは症状を起こす強さには達していないとしても、いくつかの因子が一緒になってしまえば顎関節症を起こす強さになります。(多因子説)
顎関節症を引き起こすきっかけには咬み合わせや歯ぎしり、精神的な問題などさまざまなものがありますが、日常よくやっている癖や習慣が関係している可能性もあるため、原因として考えられるものは患者さんご自身が対応することで顎関節症の症状が軽くなる可能性があるのです。
だからこそ顎関節症を予防・改善するためには患者さんが日常生活で注意点を意識し、自己管理を徹底することがとても大切なのです。
日常生活の注意点
日常生活で注意しなければならないのは下記のようなことです。
関節や筋肉を冷やさない
顎関節症では咬筋の緊張や凝りがあるため、冷やさないようにすることが大切です。
歯の食いしばりが必要な動作を避ける
歯ぎしりはもちろんのこと、歯をカチカチと慣らすなどの習慣がある方は注意しましょう。重いものを持つ際や繊細な作業を行っているときなど、無意識のうちに歯に力を入れて咬んでいることが多くあります。
上下の歯が接触している時間を少なくし、顎や筋肉への負担を軽減するように心がけましょう。
顎を急に動かすような動作を避ける
驚いた際やあくびをする際など、口を開ける機会も多くありますが、顎を急に動かすような動作はなるべく控えるようにしましょう。
あくびをするときには口を大きく開けないように注意すると良いでしょう。
長時間口を開けないようにする
口を大きく開けて笑った際に、痛みが増したり症状が悪化してしまうケースも多くあります。顎関節や筋肉の疲労に繋がりますので、痛みのある時は長時間会話をしたり大きな口を開けて笑うのは避けましょう。
姿勢を正す
姿勢が悪い状態では、顎の位置が正しい位置をキープできず、顎の位置がずれてしまう原因になります。顎の位置がずれてしまうと口を開きにくい状態になり、いずれ口を開くことができなくなってしまうこともあります。
猫背などの姿勢が悪い状態は、体に悪影響を及ぼすだけでなく顎関節症にとっても悪習慣と言えますので、正しい姿勢をキープするように心掛けましょう。
ストレッチをする
長時間座り仕事が続く場合や、緊張状態が続く場合には、時々立ち上がってストレッチを行いましょう。仕事や緊張によって凝り固まった筋肉をほぐしたり、30分ごとに緊張状態を解くことが大切です。
肩と首で電話を挟むのはやめる
電話を肩と首で挟む姿勢は、肩を持ち上げるような姿勢になる上に顎を受話器で押してしまうような状態になり、顎関節症を引き起こす要因となります。顎関節や筋肉に負担がかかりますので、肩と首で電話を挟む癖がある方は十分注意しましょう。
頬杖をつくのはやめる
テレビを観ている時やパソコン作業中に頬杖をついてしまう方も多いのではないでしょうか。
頬杖は顎を横に押してしまう状態になり、顎だけでなく顔・首・肩などに負担が掛かります。頬杖をついているときの体勢は顎に負担がかかるだけでなく、自然と猫背になってしまったり肩こりや首こり、顔のむくみなどの原因にもなります。
頻繁に頬杖をつく癖がある方は正しい姿勢を心掛けましょう。
硬いものを噛むのはやめる
つめ、鉛筆、パイプなどの硬いものを噛む癖がある場合にはすぐにやめましょう。
食事をする際の注意点
続いて食事をする際の注意点です。
硬い食品を避ける
咀嚼をする際に噛みしめる必要がある硬い食品は控えるようにしましょう。
- フランスパン
- スルメ
- 硬いおせんべい
- 硬い肉
- ビーフジャーキーなどの乾物
- あわびの刺身
- もつ焼き
上記のように硬いものを食べると顎の疲れを感じるでしょう。もちろんゼリー状の柔らかいものにする必要はありませんが、顎関節症を予防するためには噛みしめる必要があるほどの硬い食品は控えるようにしましょう。
左右の奥歯を使って咀嚼する
左右どちらかの奥歯だけを使って食事をしてしまうと、片方の顎だけに負担が掛かります。すると顎のズレや歪みに繋がりますので、食物を咀嚼する時はなるべく両側の奥歯を使うようにしましょう。
長時間噛みしめるのはやめる
筋肉は知らず知らずのうちに疲労していますので、しっかりと休めてあげることが大切です。
ガムなどを長時間噛むのはやめましょう。
寝る時の注意点
寝る時にも注意して頂きたいことがあります。
うつ伏せで寝ない
うつ伏せで寝てしまうと顎関節や筋肉を圧迫してしまうため痛みが出やすくなってしまいます。
寝る時は仰向けで寝るように習慣づけましょう。うつ伏せで読書をする習慣がある方も要注意です。
高い枕はやめる
高い枕を使用して仰向けで寝ていると、頭部が斜め上に持ち上がったような状態になります。すると呼吸がしにくくなり、頚椎にも大きな負担が掛かります。
また、横向きで寝ている場合にいは、頚椎だけでなく顎関節にも直接強い負担がかかりますので高い枕を使用している方は適切な高さの枕に切り替えましょう。
まとめ
いかがでしたか?上記で思い当たることがある方は顎関節症を予防するためにも改善するようにしましょう。
顎関節症は正しい原因を把握できず素人判断の誤ったケアを行ってしまうと、悪化してしまったり長引いてしまう恐れもあります。
症状が楽になったとしてもすぐに再発してしまうケースもあるため、必ず歯科医院に相談し、歯科医師の指示のもとで自己管理を行う事が大切です。