栄養って何でしょう?
私たちは毎日、食事をし、その食べ物の中の成分を取り入れて生命を維持しています。
タンパク質、脂質、炭水化物、ビタミン、ミネラルと様々な栄養素があります。その中でも私たちが生きていく上で中心的な役割を果たしているのがタンパク質です。
タンパク質(Protein)は、ギリシャ語で”生命にとって第1番に重要な物”という意味があるそうです。
今回は健康で元気な生活を送るために欠かせないタンパク質についてお話しましょう。
Contents
タンパク質の働き
タンパク質にはいろいろな役割があります
① 構造タンパク質:カラダを作る
ヒトの身体を家に例えると家を建てる時の材料そのものがタンパク質です。
皮膚、粘膜、髪、骨、歯、臓器、筋肉、血液、DNA、などの構成成分です。
② 運搬タンパク質:栄養素やホルモン、薬、酸素などを運ぶ
有名な物には血液中の酸素と結合して酸素を全身に運ぶヘモグロビンがあります。
また、ほとんどの栄養素は単独で動いているのではなく、栄養素を運ぶための専用の宅配便があります。それがタンパク質で多くはアルブミンが担当しています。
同様に服用した薬もタンパク質(アルブミン)とくっついてはじめて全身に運ばれます。
ホルモンにも専用の宅配便があり、結びつくことでホルモンの活性度を調節したりしています。
つまり、タンパク質不足の場合、栄養のある物を食べたり、お薬を飲んだりしただけでは、きちんと運ばれず、せっかく摂取しても効かないのです!
③ 機能タンパク質:カラダのいろいろな働きを支えている
酵素として代謝を支える
炭水化物やタンパク質、脂質の消化酵素(アミラーゼ、ペプシン、リパーゼなど)や種々の代謝を行う酵素もタンパク質です。
お肉やお魚をしっかり食べていないと消化酵素ができず、ムカムカして、お肉やお魚が食べられないという悪循環に陥ってしまいます。
抗体など生体の防御を支える
免疫機能で重要な抗体や抗体ができるまでの間、体内をパトロールして異常を見つけ出し対処してくれる補体もタンパク質です。
インフルエンザのワクチンを接種してもタンパク質不足だと抗体ができずに感染してしまうなんてこともあるようです。
また、出血したときに血液を凝固させるフィブリノーゲンなどもタンパク質です。
ホルモンとして代謝を調節
成長ホルモンや糖の代謝に関わるインスリンやグルカゴンなどほとんどのホルモンはタンパク質が材料となっています。
コレステロールが材料となっている性ホルモン、副腎皮質ホルモン、甲状腺ホルモンなどもタンパク質の摂取が重要になります。
妊娠、出産、閉経、更年期などホルモンのインバランスが起こりやすい女性の一生の鍵を握るのもタンパク質なのです!・
脳内伝達物質の材料
セロトニン、メラトニン、ドーパミン、GABAなど神経伝達物質の原料のタンパク質です。
つまりこれらがスムーズにできないと、睡眠、情緒の安定、やる気、認知機能に影響を及ぼします。
つまりカラダだけではなくココロにも関係しているのです!
この他にもアミノ酸や水の貯蔵、情報伝達をするレセプターの構成成分、エネルギー源など多くの役割を持っています
タンパク質が不足するのはどんな時?
①タンパク質を食べる量が少ない場合
お肉、お魚、卵など食べている量が少なければ当然不足してしまいます。
②タンパク質が吸収できない場合
消化酵素が不足、胃切除、ピロリ菌で胃粘膜が萎縮などで吸収阻害があると不足してしまいます。
③タンパク質の消費が多い場合
アスリート、成長期の子供、妊娠・授乳期、がん患者、リウマチなど自己免疫疾患、甲状腺機能亢進症などでは、タンパク質の消費が多くなって不足しやすくなってしまいます。
タンパク質はどれだけ必要?
実際どのくらいのタンパク質を取ればいいのでしょうか?
1日で 体重1kgあたり、1〜1.5gのタンパク質が必要と言われています。
例えば、体重50kg の人であれば、50〜75gのタンパク質が必要になります。
それでは、50gのお肉を食べたら50gのタンパク質が取れるのでしょうか?
タンパク質はアミノ酸からできています。そのアミノ酸の中でも、発育や健康維持に不可欠でありながら、体内で合成できないものを必須アミノ酸といいます。
食品の中に含まれている必須アミノ酸の組成のバランスを表した指標をアミノ酸スコアといい、アミノ酸スコアが100に近いほど、体内でアミノ酸を有効に使うことができます。
牛肉、豚肉、魚、卵、牛乳など動物性タンパク質はアミノ酸スコアは100
それに対し、植物性タンパク質のアミノ酸スコアは玄米 68、小麦42と低くなっています。
それでは、ステーキを食べたら、どのくらいのタンパク質は摂取できるでしょうか?
牛肉100gには約20gのタンパク質が含まれています。そのタンパク質も調理をすると約1/2 になってしまい、摂取量は10g程度となります。
そしてタンパク質は食べ貯めはできないので、毎日の摂取が大切です。
タンパク質の消費量が増加している場合はそれ以上の摂取が必要になります。
授乳中は乳汁中に1日11gのタンパク質を分泌しており、胎児の成長に伴い需要が亢進している妊婦さんやアスリートでは1.5〜2g/kgの摂取が必要です。
まとめ
タンパク質の重要性、わかっていただけたでしょうか?
現在、健常人の1日の平均摂取量は20g〜30gといわれています。
実際はこの倍以上のタンパク質が必要になります。心身共に健康でいるためにはタンパク質は不可欠です。これをきっかけにご自身のお食事を見直してみませんか?
次回はタンパク質第2弾、口腔とタンパク質の関係についてお話しする予定です。