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歯周病は痛みがなく進行するため、そのまま放っておくと悪化の一途をたどります。
歯周病かも?と思ったら歯科医院を受診し、もし歯周病と診断されたら
できるだけ早く治療を始めなければいけません。歯周病は早期発見、早期治療です。
ここで歯周病の治療法と、その流れについて説明します。
歯周病の症状と治療の流れ
歯肉が赤く腫れる歯肉炎からさらに症状が進行したものが歯周病です。
歯周病と診断されても治療をせずにそのままにしておくと、
症状がどんどん悪化して歯槽骨が徐々に溶け始めます。
歯を支える土台となる歯槽骨が溶けると、歯が動き始め、最終的には抜け落ちてしまいます。
歯周病は歯そのものを治療するのではなく、歯ぐきの治療をすることで改善を試みます。
歯周病の進行具合により治療方法が異なり、軽度の場合は
適切なブラッシングを中心とした治療で良くなることもありますが、
重症化すると大がかりな治療が必要になることもあります。
レントゲン、歯周ポケットの検査などを行う
歯周病かどうかを診断するため、様々な検査を行います。
まず問診を行い、気になる箇所や症状について患者様に質問します。
そのあとレントゲン写真を撮り顎の骨の状態を確認し、
歯周ポケットの深さと「動揺」という歯の揺れ具合を確認する検査を行います。
軽度歯周病
歯周病の手前である歯肉炎は、歯ぐきが少し赤く腫れ、
歯みがきのときに出血を伴うことがあります。歯周ポケットの深さは約3ミリくらいですが、
正しいブラッシングで改善できることがあります。
軽度歯周病になると歯周ポケットが4~5ミリ程度になり、歯ぐきの腫れと出血、
口臭を伴い、少し顎の骨が溶けている状態です。治療法としては
まずスケーリングと呼ばれる歯石除去を行い、歯に付着したプラークや歯石を取り除きます。
歯石は歯に付着したプラークが石灰化したもので、歯周病菌の温床となるため取り除く治療を行います。
歯科衛生士が超音波スケーラーという機械または手動で丁寧に歯石を取り除いていきます。
初めて歯石除去を行う人は、「歯を削るのでは?」と心配に思うかもしれませんが、
歯石除去は歯を削るわけではありませんので安心してください。
今後は3ヶ月に1度を目安として、定期的歯石除去を行うことで、症状を安定させていきます。
また歯周病はセルフケアが欠かせません。
家庭でのブラッシングが正しく行われることで進行を防ぐことができます。
歯科衛生士によるブラッシング指導や口腔内ケアについてアドバイスを参考に、
毎食後しっかりとブラッシングやフロスなどを使ってお口の中を綺麗に保つようにして下さい。
中度歯周病
歯周病の症状が初期より進み、中度の歯周病になると、歯ぐきの腫れや出血に加え
歯を支える骨が半分くらい溶けてきます。このため歯が少し動き、
重いような痛みを感じるようになります。また歯周ポケットは4~6ミリほどと深くなり、
歯の根の部分に歯石が付くようになります。
この程度の歯周病になると、通常の歯石除去だけではなく、
歯肉に隠れた歯石も取り除く必要があります。
歯肉縁下の歯石除去の処置をSRP(スケーリング ルートプレーニング)と呼び、
深い部分にまで付着した歯石を除去する処置は今後の歯の存続を左右する、非常に大切な処置です。
SRPを行うときは表面麻酔などを行い、痛みを軽減して処置を行います。
その後、歯周ポケット検査を行い、数値が改善していれば通常の歯石除去を行い、
あまり変化がなければ再びSRPを行うことがあります。
また、レーザーを用いた歯周病治療を行うこともあります。
歯科用レーザーは歯周病菌を死滅させ、耐菌性を発生させないため、
歯周病治療において高い効果がみられます。
大切なことは、家庭でのブラッシングです。
SRPを行ったからといって歯周病が劇的に改善されるわけではありません。
家庭でのブラッシングをいかにしっかりと行うかが歯周病の改善のカギと言えます。
重度歯周病
さらに症状が進行すると、歯周ポケットは8ミリ以上となり、
歯を支える骨は3分の2が溶けている状態となります。ここまでくると歯がぐらぐら動き
食べ物を噛むことが困難になり、痛みも出てきます。歯肉は赤く腫れてブヨブヨし
膿も出てくるため口臭もひどくなります。見た目にも歯の根が露出し、歯石も大量に付着
歯肉の中にもびっしりと付いてしまっています。
ここまで状態が悪くなるとSRPでは改善は困難な状況となり、外科処置が必要となりますが
最悪の場合、抜歯になることも考えられます。
抜歯が必要な理由
歯周病の治療を行っても歯を残すことができない歯は残念ながら抜歯します。
予後の悪い歯を残すことで、余計に顎の骨の吸収を促してしまうことがあるため、
他の歯を守るためにも残念ながら抜歯となります。
外科治療~フラップ手術、歯周組織再生療法~
入念なプラークコントロールやSRPを行っても改善がみられない場合、
フラップ手術と呼ばれる、歯肉を開いて内部の歯石を取り除く外科治療を行います。
局部麻酔を打ち、歯肉をめくって歯根や歯槽骨に付着している歯石や細菌を
超音波スケーラーやハンドスケーラーで徹底的に除去し、糸で縫合します。
多くの場合、感染予防のための抗生物質や痛み止めが処方されます。
また歯槽骨が溶けてしまった場合、骨の再生を目的とした歯周組織再生治療を行うこともあります。
歯周病はプラークコントロールと定期検診が大きなポイント
このように、歯周病治療について進行具合と合わせてお話ししましたが、歯周病は生活習慣病です。
まずは歯周病にならないように、また歯周病になっても悪化させず改善させるように、
ご自身でコントロールすることが何よりも大切です。
そのためには家庭でのブラッシングが第一です。
プラークコントロールという言葉を聞いたことがあると思いますが、
プラークコントロールとは、歯に付いたプラーク(歯垢)を除去し、
歯周病や虫歯にならない口腔内環境を作ることです。
プラークは食べかすが原因で作られる物質で、
細菌の塊です。このプラークが歯周病の原因です。プラークを落とすためには
通常の歯みがきだけでは難しく、歯と歯の間に残った食べかすはなかなか綺麗に落とし切れません。
デンタルフロスや歯間ブラシ、歯並びに問題がある場合などはワンタフトを使って、
隅々まできれいに落とす必要があります。これは毎日毎食後、習慣として行わなければいけません。
時間的に難しい場合は、寝る前だけでもしっかりとフロスなどを使って汚れを落としましょう。
このように、家庭で行うセルフコントロールが歯周病予防の基本です。
最後に
歯科医院での定期検診、メンテナンスも欠かせません。
どんなに家庭でプラークコントロールを行っても、どうしても落としきれない汚れや
歯石があります。これを歯科医院で定期的に除去することで、
歯周病のリスクを減らすことができます。このように、
歯周病から大切な歯を守るためには日常の手入れ、早期発見・早期治療が何よりも大切です。
少しでも異常を感じたら、早めに歯科医院へ相談してください。