歯医者さんで治療できる口のトラブルの代表と言えば、虫歯ではないでしょうか。
虫歯ができて痛む時は歯医者さんに行く!という考えが一般的です。しかし、歯科医院で治療できる口のトラブルは、虫歯だけではありません。
歯肉炎や、抜けた歯を人口歯にするインプラント治療、歯の着色が気になる時に効果的なホワイトニングなど、歯科医院で改善できるトラブルはさまざまです。
歯科医院ではその他にも、顎(あご)についてのトラブルの治療を行っていることをご存知でしょうか。
口腔外科に属する治療では、親知らずの抜歯が代表的であるため、「顎の痛み」といってもなかなかピンとこないかもしれないですね。しかし、顎の痛みやトラブルも歯科医院で改善できるのです。
歯のトラブルだけでなく、歯科医院で治療できる顎のトラブル「顎関節症」について知っておきましょう。
Contents
顎関節症とはどんな症状?
顎関節症(がくかんせつしょう)になったことがある方も多いのではないでしょうか。
顎関節症とは、口腔外科にも対応可能な歯科医院で治療できる顎のトラブルのことです。
具体的な症状としては、顎の痛み、口の開閉がしにくい、顎を動かすとパキッと音がするというものがあります。顎は頭部や首、肩とも関わっている場所のため、本当は顎が痛いのに他の部位が痛いのだと勘違いしてしまう方もいます。慢性的な頭痛や単なる寝違えだと思っている肩首の痛みが、実は顎の痛みの可能性があります。こめかみや頬のあたりに、特に何をしたわけでもないのに痛みを感じることがあるのも顎関節症の症状の一つです。
顎関節症は特別なものではなく、意外と身近な症状です。厚生労働省の調査によると、顎に妙な音を感じたことのある人の割合は、25歳から29歳の女性においては何と約35パーセントとなっており、他の年代でも男女問わず5~20パーセントくらいの人が顎の音を意識したことがあるという結果が出ています。顎の痛みを感じている人は、25歳から29歳の女性では10パーセント以上という高い割合となっています。
名前は難しいですが、意外に日常の中にあるのが顎関節症なのです。
痛みの原因は姿勢や生活習慣や日常生活の負担
では、なぜ顎関節症になってしまうのでしょうか。
顎関節症の原因は個人の生活習慣や歯並び、ストレス、睡眠障害、吹奏楽部など長時間の楽器の使用による負担、顎の使い過ぎなど多岐に渡ります。
普通に生活しているだけでも顎は使いますから、「え、こんなことで?」という当たり前の生活習慣によって顎関節症が引き起こされてしまうことがあるのです。
該当項目が多い方は要注意!~セルフチェック~
中には「確かに顎の痛みはある」「咀嚼し難い」「自分の症状は顎関節症なのか分からない」という方もいらっしゃるはずです。
改善が必要な顎のトラブルは、基本的に顎の治療も可能な歯科医院で診察してもらうことで原因がわかります。
しかし専門的な知識を持っていない方の多くは顎が原因なのか、それともただ寝違えただけなのか、背中のこりなどが原因なのか、それとも顎を含めた周辺部位に病院の外科的な治療が必要なトラブルが生じているのかを判断することはなかなかできません。
「枕が合わないから毎日顎や首のあたりに痛みがあるようだ」と思い込んでしまうこともあるでしょう。
そこで、まずはセルフチェックをしてみることをおすすめします。一般社団法人顎関節学会では、顎関節症のセルフチェック項目を掲載しています。
「痛む」といった項目にチェックの多い方は要注意です。前述した通り顎関節症は他のトラブルと症状が似通っている部分があるため、このセルフチェックで完璧な自己診断が可能というわけではありません。
当てはまった項目によって、あくまでも顎関節症の疑いがあるということで、歯科医院に相談することを検討しましょう。
顎関節症かも知れないと考えると心配になりますが、必要以上に不安になる必要はありません。それは顎関節症は治療で改善できるからです。
今まさに痛みが出ている方もきちんとした治療を受ければ治る可能性が高いと考えてください。ずっと痛い状態を放置しておくより、早期治療で改善が見られればそれに越したことはありません。
まずは受診が必要!病院で専門家に診てもらおう
痛みがあるとそれだけで不安です。「大変な病気だったらどうしよう」と不安になりますね。
顎関節症のような顎のトラブルの場合は、食事を楽しむことができないというデメリットもあります。家族や友人と美味しいものを食べるなら、痛みなく素直に美味しいと言える状態で楽しみたいですよね。
顎関節症の可能性がある場合、歯科医院ではまず念入りな検査を行います。顎関節症の症状は他の口のトラブルと重なるところがあるため、原因が何かを特定しなければいけません。
治療法は一つではない
歯科医院で状況に合った矯正治療を歯科医師と相談する必要があります。
診察で顎関節症と診断されれば、日本顎関節学会の専門医・指導医の資格を持つ歯科医師が治療にあたります。
顎関節症はピンポイントで顎を治療すればいいというわけではなく、嚙み合わせや歯並びを正したり、顎への負担を軽減したりといった「その人の口の問題点」「口のトラブル」を総合的に矯正することによって行います。もちろん治療の際に虫歯などのトラブルが見つかれば、一緒に治療することも必要になります。
顎関節症の治療は、その人に合ったオーダーメイドの治療を専門医が行うのです。
治療によるメリットとは?
顎関節症をその方に合った方法で治療することにより、痛みの緩和あるいは消失、顎の雑音が消えるなどの具体的な顎関節症の症状を改善することができます。それだけでなく顎関節症の原因が嚙み合わせであると診断された場合は、嚙み合わせを治療することになります。すると結果的に食べ物を噛みやすくなり、歯並びが改善される前よりブラッシングの効果が期待できるようになります。また、顎関節症の再発を防ぐことにも繋がるというメリットがあります。
生活や食事のストレスからも解放されることが一番大きなメリットかもしれないですね。
最後に
顎関節症は適切な治療で改善することが可能です。顎は生活の基本である食事と関わりの深い重要な部位です。せっかくの食事が痛みを感じるような苦痛な時間になってしまうのはとても残念なことです。
常日頃から首や肩のあたりに慢性的な痛みを感じるという方も、肩のこりや寝違えと勘違いして悩んでしまうケースが見受けられます。まずは診療を受け、ケースに合った適切な治療を受けることが重要です。
辛い痛みやトラブルが改善されれば、日常生活が良い方向に変化することでしょう。