口腔は食事して栄養補給をするために必要なことはもちろんのこと、会話をしてコミュニケーションをとるためにも重要な役割を果たしています。口腔がんなどが原因で、口腔の機能が低下してしまうと日常生活に支障が出ることは明確です。
日本では毎年およそ7000人もの方が口腔がんを発症しており、そのうちのおよそ3000人が亡くなっていると言われています。私たち日本人にとって身近で恐ろしい病気であるがんの中でも、直接目に見える部位に発症するにも関わらず、なかなか早期発見に至らないことが口腔がんの恐ろしさです。
しかし口腔がんは早期発見さえすれば後遺症が残ることもほとんど無いと言われており、5年生存率も90%以上という治癒しやすいがんでもあるのです。
そこで今回は口の中にできる癌である口腔がんはどのようなことが原因で発症してしまうのか、予防方法はどのようなものがあるのかをご紹介したいと思います。
口腔がんを発症してしまう原因を知り予防に努め、口腔がんを発症した場合には早期発見を心掛けましょう。
Contents
口腔がんとは
口腔とは口の中全体のことを言い、口の中に出来るがんを総称して「口腔がん」と呼びます。発症する部位によって舌がん・歯肉がん・口腔底がん・口唇がん・口蓋がん・頬粘膜がんなどに分類されます。口腔がんの中では下にできる「舌がん」が半数以上を占めていて最も多く、次いで「歯肉がん」となっています。
口腔がんは40歳を過ぎる頃から、加齢とともに発症するようになり、加齢とともに発症率が高まることが分かっています。また、口腔がんが発症する割合は女性よりも男性の方が多く、20代の方に発症するケースも存在しています。
日本人の口腔がんは胃がん・大腸がん・肺がん・乳がんなど他の部位に発症するがんに比べ、発症率が1~3%ほどの割合となっており、決して多いとは言えません。しかしその分口の中にがんができることを知らない方もいらっしゃったり、単なる口内炎や歯周病などと勘違いして早期発見に至らないケースが多いのが現状です。
口腔がんの原因
口腔は咀嚼や嚥下、発音など私たちが健康で元気に生きていくために重要な器官です。大切な口を口腔がんから守るためにも、原因として考えられる行為には注意が必要です。
喫煙
口腔がんを発症する最大の原因となるのが、他のがんと同様に「喫煙」です。
喫煙習慣のある方は、喫煙習慣の無い方に比べると口腔がんの発症率がなんと約7倍も高くなると言われており、死亡率も約4倍も高くなるというデータもあります。
タバコの煙の中にはたばこそのものに含まれる物質と、それが不完全燃焼することによって発生する化合物が5000種類以上も含まれています。その中には発がん物質が約70種類も含まれています。
タバコを吸うことによって発生する有害物質は、肺に到達した後すぐに血液を通して全身の臓器へと運ばれ、がんを発症する原因作り出します。タバコは口から吸いますので、口腔がんを発症させる大きな原因となっている可能性は極めて高いのです。
飲酒
喫煙に次いで口腔がんの原因となるのが、飲酒です。つまり、喫煙と飲酒の習慣がある方は最もリスクが高いと言えます。
飲酒時の喫煙は特に危険で、タバコに含まれている発がん性物質がアルコールによって溶け出し、口腔内の粘膜に大量に付着しやすくなり、さらに口腔がんを発症するリスクが高くなると言われています。
そもそもアルコールとアルコールを分解する際に発生するアセトアルデヒドという成分は発がん性があると言われており、アルコール消費量が多い国では口腔がんの発症率が高いというデータもあります。
口腔内トラブル
歯磨きなどが不足して、虫歯を発症しているのにも関わらず放置してしまうことが口腔がんを発症する原因になることがあります。
また、合わない入れ歯や被せ物によって口の中が慢性的に刺激を受けている状態が続くと、口腔がんのリスクが高まります。
治療する必要があるのに放置している場合には、なるべく早く歯科医院を受診する必要があります。
口腔がんを予防する方法
これさえ守っていれば絶対にがんにならないという保証はありませんが、なるべくがんの発症リスクを抑えるためにも、ご紹介する予防方法を意識してみてください。
禁煙する
口腔がんに限らず、がんを予防するためにはタバコを吸わないことが最も効果的だと言われています。
現在タバコを吸っている方も、なるべく早い段階で禁煙することによってがんになるリスクやがんを発症した際に死亡するリスクを下げることが可能なのです。今すぐ禁煙するか、もしくは徐々に本数を減らしていくことによって健康被害を防ぐことに繋がります。
タバコには依存性があるため、簡単に禁煙できるものではないかも知れません。しかし禁煙をすることで喫煙しているご本人の健康を守るだけでなく、受動喫煙の軽減によって副流煙による健康被害も防ぐことができます。
何度も禁煙に失敗してしまったり、禁煙できても再び吸い始めてしまうなどタバコに依存してしまっている方は、保険が適用となる禁煙治療を受診するなど、本格的に禁煙を考えてみてはいかがでしょうか。
過度な飲酒を控える
お酒は適量を守っていれば血行促進やストレスの発散などの嬉しい効果も期待できます。しかし過度な飲酒は口腔がんだけでなく、食道がんや肝障害や高血圧症などさまざまな病気を引き起こす可能性があります。
お酒の飲み方を誤るとアルコール依存症になり、飲酒量や飲む時間などをコントロールすることができなくなってしまうこともあります。
1日平均2合を超える量を飲んでいる場合にはさまざまな健康被害を引き起こす可能性があるため、週に2日は休肝日を設ける、1度に飲む量を控えめにするなどして身体を労わりましょう。
バランスの良い食生活を心がける
新鮮な野菜や果物にはビタミンやカロテンなどが豊富に含まれています。栄養素不足が口腔がんの発症に関わるとも言われていますので、バランスの良い食生活を心がけることが予防に繋がります。
また、焦げた食べ物を口にしない、熱すぎる食べ物は少し冷ましてから食べるようにするなど口腔内に刺激を与えないような食生活を心がけましょう。
定期的に歯科医院を受診する
口腔がんは見えるがんです。歯磨きやうがいを習慣化することはもちろんですが、定期的に歯科検診を受診していれば、特別に検査をしなくても万が一の口の中の異常をいち早く発見することができます。
歯周病や虫歯予防のためだけでなく、口腔がんを発症していないかどうかも一緒に確認してもらいましょう。
まとめ
いかがでしたか?
喫煙や飲酒は私たちの生活においてとても身近なものですが、時に健康被害をもたらすこともあるので注意がッ必要です。口腔がんは予防することができる病気ですので、口腔がんを予防し健康に、元気に過ごしましょう。