
新しい矯正治療方法として普及し始めているのが「デジタル矯正システム」です。
通常の矯正治療では、歯科医師の経験と感覚をもとに患者さまに最適な矯正治療の計画を立てています。しかし最新のデジタル矯正システムでは、患者さまのお口の中の3Dスキャンデータをもとに、さまざまな角度から歯並びを診断し、最も効果的で効率的な治療計画をシミュレートすることができるようになっています。
今までのようにX線CTやレントゲン写真などで患者さまの現状を把握するだけでなく、矯正治療後の状態も正確にシミュレートすることができます。歯科医師の豊富な経験と知識だけに頼るのではなく、より詳細な情報を元に治療計画を立てることができるので、より一層正確で素早い”最適な矯正治療”を実現させています。
デジタル矯正システムという名前を聞いたことがある方も、初耳だという方もいらっしゃるかと思います。今回は最新デジタルを使用した矯正治療、デジタル矯正システムについてご紹介したいと思います。
矯正治療を検討しているという方は、選択肢の一つとして最新の治療方法を把握しておきましょう。
Contents
デジタル矯正システムの特徴
歯科矯正治療では、元の状態にもよりますが歯並びが完全に整うまでに1年半~3年ほどかかります。そのため矯正期間中は治療そのものを生活の一部と考え、月に1度の通院や歯に固定するワイヤーを取り換えるなど歯を移動させるために時間を費やす必要があります。
しかしデジタル矯正システムを用いて質の高いシミュレーションをすると、矯正専門医による最善の治療計画を立てることが可能ですので、治療期間を短縮したりと患者さまにとってメリットが多い方法であると言えます。
そんな最新のデジタル矯正システムの大きな特徴をご紹介します。
治療前に詳細なデータを得られる
デジタル矯正システムでは、X線CTや3Dスキャナーから得た情報を基に詳しく診断を行っていきます。それによってより正確で詳細な矯正治療の計画を立てることができます。
デジタルデータから得られる情報はさまざまですが、その情報を正確に読み解く医師の知識が必要となるので、デジタルデータを活かすことができるかどうかは歯科医師にかかっています。
治療期間を短縮できる
デジタル矯正システムでは、矯正に使用する歯を動かす装置をコンピューター制御のロボットが精密に作製することができます。3Dスキャンしたデジタルデータを基にオーダーメイトの矯正装置を作製するため、患者さまお一人お一人に合わせた最適な装置を使用することができます。
そのため治療期間を短縮し、通院回数も減らすことができます。
見えない部分までシミュレーションできる
従来のブラケット治療では、患者さまお一人お一人に合わせた最適な歯の動かし方ができる訳ではなく、平均的で理想とされる位置にブラケットを装着していました。すると中には無理な動かし方になってしまう場合もあり、歯根吸収などのトラブルが起きてしまうこともあったのです。
しかしデジタル矯正システムを用いた矯正治療では、顎のや歯根の動きまでシミュレーションすることができるので、見える部分だけでなく歯根がぶつかり合うことがないようにするなど、無理なく歯を動かすことができるため、患者さまの負担を軽減することができるのも魅力です。
見えない部分まで3Dデータ化できるので、ご自身の骨格や歯の生え方などを立体的に確認することもできます。想像の状態ではなく、今の実際の状態を把握することができるので、安心して矯正治療を受けることができます。
複数の矯正治療を組み合わせて提案できる
通常行われている矯正治療では、基本的には治療が完了するまで一つの装置を使用します。
しかしデジタル矯正システムは、最新デジタルのテクノロジーを駆使して患者さまそれぞれの状態やライフスタイルに合った最適な方法を組み合わせることも可能です。
ブラケット矯正とマウスピース矯正を組み合わせたり、裏側矯正とインプラントを組み合わせたりなど、その方だけの治療計画を立てることができます。
デジタル矯正システムには医師の高い技術力が必要不可欠
残念ながらデジタル矯正システムを使用すれば誰でも簡単に良い治療結果を出すことができるとは限りません。
歯科医師が経験と知識を最大限に活かし、従来の矯正治療方法よりもさらに効率的な治療計画を立てることができて初めて成功できるものです。
デジタル矯正システムはあくまでも新しい矯正治療方法の選択肢の一つです。その良さや効果を最大限に発揮するためには矯正治療に関する豊富な知識と技術が必要不可欠です。矯正治療の経験が豊富な医師でなければ、ある意味扱いが難しいシステムでもあると言えます。
もちろん矯正治療に関する経験と知識が豊富な医師であれば、デジタル矯正システムを有効活用して患者さまの状態に応じて最適な方法をご提案することができます。
治療装置には取り外しが可能なもの、固定してそのままにするもの、金属のものやプラスチックのものなど数多くの種類があります。デジタル矯正システムを用いるかどうか、使用する装置はどれにするのかはその方その方に状態や要望によって異なります。ご自身にとって最適な方法を選択するためにも、歯科医師とよく相談しましょう。
まとめ
今回は最新のデジタル矯正システムについてお伝え致しました。
患者さまの口の中の詳細なデータを元に治療計画を立てることができるので、治療期間が長いことがネックで今まで矯正治療を開始することができなかったという方も最短の方法で矯正治療を行うことができます。治療期間について心配という方も安心して相談しましょう。
デジタル矯正システムがあれば歯科医師は不要なのではないかと思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかしいくらデジタル矯正システムによって最適な治療計画を導き出せるとしても、カウンセリングでお悩みを直接お伺いしたり、患者さんのお口の中の状態を目で見てしっかりと把握したりすることは機械にできることではありません。
本当に患者さまのお悩みに寄り添い、最高の治療計画をご提案できるかどうかは歯科医師の力にかかっています。丁寧で正確な矯正治療を受けたいという方は、最新デジタル矯正だけに頼るのではなく、矯正治療に関しての経験と知識が豊富な歯科医師に相談することをおすすめします。