
歯周病は虫歯と並んで歯を失う原因となるお口の中の病気です。
歯周病と聞くと、高い年代の方だけに起こる症状と思われがちですが、最近では歯周病になる若い方が急増しています。幅広い年代に起こる歯周病は口だけではなく、全身の健康にも大きく関わるため、きちんと治療することが大切です。
歯周病がもたらす健康への影響と、歯周病治療によるメリットをお話します。
Contents
歯周病の症状
歯周病は、歯周ポケットに入り込んだ歯周病菌により、歯槽骨という顎の骨が溶けていく症状を言います。
顎の骨が溶けていくと、少しずつ歯がグラグラになり、最後には抜け落ちてしまいます。歯周病は虫歯と違い、ほとんど痛みがなく進行するため歯が揺れ動いて初めて気がつくことがあります。
また歯ぐきの腫れや出血を伴いブラッシングのときなどに痛みを感じることもありますが、虫歯のような鋭い痛みとは異なり、違和感がある、なんとなく歯ぐきが思い感じがするなどの自覚症状があります。
その他の症状としてはひどい口臭、口の中のネバつき、歯ぐきが下がって歯が長くなった感じがする、歯と歯の間にすき間ができてきたなどがあげられます。
歯周病がかなり進行し、歯ぐきがブヨブヨして腫れあがっていると痛みを伴うことがあります。
歯周病と全身疾患
歯周病は歯だけでなく、全身の健康にも大きく関わります。
以下にあげる症状は、歯周病と関連が深いと言われているものです。
糖尿病の悪化
糖尿病は、血糖値を下げるホルモンが不足し、常に血糖値が高い状態が続く病気です。糖尿病は様々な合併症が問題となり、免疫力の低下で感染症になりやすいと言われています。
歯周病は歯周病菌による細菌感染のため、糖尿病の方は歯周病にかかりやすいことがわかっています。
また糖尿病と歯周病は相互作用があり、歯周病になると糖尿病が重症化しやすく、糖尿病があると、歯周病治療が困難になる、負の連鎖が起こります。
心疾患、動脈硬化
歯周病は、心疾患にも関わります。
歯周病菌が血管を介して侵入し、動脈にプラークを作ることで血管の壁を厚くし、血流の流れを悪くします。このため動脈硬化などを引き起こすリスクが高まります。
骨粗しょう症
骨密度が低下し、骨が弱くなって骨折などを起こしやすくなる骨粗しょう症も、歯周病と関係があると言われています。
歯槽骨が弱くなると歯周組織が壊されやすくなることから、骨粗しょう症は歯周病を悪化させると言われています。
誤嚥性肺炎
特に寝たきりや、食べ物を飲み込む筋力が衰えている高齢者によく起こりがちな誤嚥性肺炎は、誤って食べ物や唾液が肺に入り込むことでおきる肺炎です。これは唾液の中に含まれる歯周病による細菌感染が原因で肺炎が引き起こされます。
その他歯周病は、妊婦さんによる早産の危険性や低体重児出産にも深く関わっています。
健康な歯は、健康な体作りの基本
歯周病の原因は、ブラッシング不足による口腔内の不衛生です。落としきれない汚れが溜まり、やがて細菌の塊であるプラークへと変化します。
ここに歯周病菌が入り込むことで歯周病になります。つまり歯周病を改善するためには、まず歯周病の温床であるプラークを落とし、清潔な口腔内を整えることが必要です。
そのためには正しいブラッシングと、歯科医院で受ける歯石除去、歯のクリーニングを行うことが欠かせないのです。
そして体の健康は、歯から作られるといっても過言ではありません。健康な歯は食事をおいしくいただけるだけでなく、健康の基本となるため、歯周病治療を行うことは体に多くのメリットを与えることになります。
肥満の予防になる
健康な歯でしっかりと食べ物を噛むことは満腹感を得ることが出来るため、肥満の予防になります。肥満は生活習慣病の引き金になり、メリットなどひとつも存在しません。
肥満の原因は、よく噛まずに食べることで満腹中枢が刺激されないためです。よく噛んで食べることは満腹中枢を刺激し、適度な量でお腹の満足感を得ることができるため、食べ過ぎの予防になります。
歯周病で歯が揺れ始めると、しっかり噛むことができなくなり、よく噛まないまま飲み込むためなかなか満腹になりません。
手遅れになる前に歯周病治療をしっかりと行い、肥満を予防して健康的な生活を送りましょう。
消化、吸収に良い
唾液はわたしたちの健康に深く関わっています。しかし唾液が不足するとさまざまな不快症状が起きてしまいます。
唾液はしっかりと食べ物を噛むことで分泌されますが、歯周病により噛む機能が低下すると、よく噛まないため唾液が分泌されにくくなります。
唾液には消化酵素であるアミラーゼが含まれており、食べ物の消化をよくする働きがあるため胃腸にかかる負担が少なくなります。
歯周病が悪化すると歯が動き始め、しっかり噛めないことは唾液が分泌されにくくなり、消化吸収を妨げてしまいます。
健康な歯は、消化をしっかり行う大きな役割を持っています。
老化やがんの予防になる
よく噛むことは脳の発達を促し、認知症の予防になります。
しかし歯周病で歯がぐらぐらすると、食べ物をしっかり噛むことができません。また歯周病が進行し、歯を失ってしまうとよく噛まずに食事をするため、脳への刺激が少なくなり認知症の引き金となってしまいます。
また唾液に含まれるたんぱく質は、発がん性物質のがん発生を抑制する働きがあるため、しっかり噛んで唾液の分泌を促す必要があります。
老化やがんなどから健康な体を守るため、歯周病治療をしっかりと行いましょう。歯周病と関係の深い糖尿病も、歯周病を改善することで血糖値のコントロールがしやすくなります。
口臭を防ぐ
生理的な口臭は誰でもありますが、歯周病が原因の口臭は思わず顔をそむけたくなるようなほど強烈です。相手に不快感を与えてしまう口臭を改善するためには歯周病の治療が必要です。
歯周病を治すことで口臭の悩みを改善できるため、周りにも不快感を与えません。
清潔な口元を保つことができる
歯周病がすすんだ歯や歯ぐきは、決して美しいものではありません。
ブヨブヨと腫れた歯ぐき、歯ぐきが下がって歯の根が見えている、歯周病による歯の欠損など見た目にコンプレックスを感じない人はいないでしょう。
歯周病は症状が軽いうちに治療を行うことで進行を食い止めることが可能です。諦めず、歯周病治療を行ってください。
まとめ
このように、歯周病治療は健康な歯を過ごすための非常に大切な治療で、早ければ早いほど治りやすくなります。
健康な生活を送るためには健康な歯が必要です。
歯周病かも?と感じた場合はすぐにでも歯科医院を受診し、歯周病と診断されたら適切な治療とセルフコントロールを行い、健康な歯を取り戻しましょう。