歯と健康のラボラトリー

矯正歯科の種類とそれぞれのメリットデメリット

矯正歯科とは、歯に少しずつ力を加え健全な歯の機能性と美しい外見(審美性)を作り出す治療です。

歯並びが悪いことは見た目にデメリットが生じるだけでなく、プラーク(歯垢)を発生させやすい環境にしてしまうのでほかにもデメリットが多く存在します。

プラークは日本人が歯を失う最大の理由である虫歯や歯周病といった口腔内の病気を引き起こす原因です。

矯正歯科を利用する意義は、1つではありません。
今回は「大人の矯正歯科」をテーマにその種類やメリットについて紹介します。

成人矯正と小児矯正

矯正歯科には成人矯正と小児矯正の2種類があります。名前の通りですが前者は大人が行うもの、後者は子どもが行うものです。
近年、成人矯正を利用したいと考える方は増加しています。

成人矯正には小児矯正にはない2つの長所があります。

  1. 自身のコンプレックスを解消できること。
    特に、接客業や営業など人と接する仕事に就いている方には共通するテーマでしょう。
    歯並びが悪いことで、思いっきり喜怒哀楽を表現できないのは辛いものです。
    事実、そのことがストレスとなって日常生活に支障が出ているという人も少なくはありません。
  2. 治療計画を立てやすいこと。
    治療計画とは歯科医が患者さんへの問診や、検査結果をもとに立てる治療を行うためのプロセス(計画)のことです。
    大人の歯は子どもの歯に比べると成長のスピードが遅いです。これは治療期間が長引くためデメリットと捉えられやすいですが、計画と実際の過程との間に生じる誤差を最小限に抑えることができるためデメリットではないのです。

矯正歯科の種類

矯正歯科にはどのような種類があるのでしょうか。
ワイヤーを通して行う一般的な治療法の中から3つ紹介します。

金属ブラケット

矯正歯科の中ではもっとも広く行われている方法で、歯の表側に金属製のブラケット(装置)を接着して矯正する治療法です。
素材には特殊金属であるニッケルチタン合金が使用されており、弾力性や柔軟性に優れていることから歯や歯肉(歯ぐき)にかかる負担を最小限に抑えられます。

クリアブラケット

ブラケット部分が半透明の素材で作られているため、付けていることが目立ちにくい矯正歯科です。

金属ブラケット同様、歯の表側に装着します。審美性に優れていることから審美ブラケットとも呼ばれ、成人矯正の中でも特に人気が高い種類です。

リンガルブラケット

ブラケットを歯の裏側に接着して矯正する治療法です。
リンガル(lingual)とは「舌の」という意味なので、舌側矯正や裏側矯正とも呼ばれます。
外見から目立ちにくいことからクリアブラケット同様、人気があります。

それぞれのメリットとデメリット

それぞれの治療方法のメリットデメリットを踏まえた上で治療方法を検討しましょう。

金属ブラケット

メリット

臨床歯科の歴史上もっとも多く行われてきた矯正歯科の方法なので、実績がある分安全への確実性が高いと言えます。
また治療にかかる期間が短く、比較的スピーディに完了することが可能です。

ニッケルチタン合金は薄くて丈夫なため、歯並びが悪いといった症状だけでなく様々な症状へ適応できます。費用が比較的安価であることも大きなメリットです。

デメリット

金属なので外見上目立ってしまいます。
また可能性は低いですがアレルギー体質の方には金属アレルギーの発症リスクがないとは言い切れません。

他の矯正歯科にも共通したデメリットですが、歯磨きや食事がしにくいことや付け始めの違和感からストレスを感じることがあります。

クリアブラケット

メリット

ブラケット自体が半透明なので外からは目立ちにくく、金属アレルギーの方には発症リスクを抑えることができます。適応性や治療のスピード性にも優れています。

デメリット

ブラケット以外(ワイヤーなど)が透明でないので多少目立つことや、金属に比べて矯正の力が弱く治療期間が伸びる場合があることがデメリットです。

素材にはプラスチックやセラミックが使われますが、いずれも金属ブラケットより費用が高くなるケースが多いです。

リンガルブラケット

メリット

先に挙げた2つよりも、より外から目立ちにくいことが最大のメリットです。
特に見た目を気にする方にお勧めの治療法です。

デメリット

歯の裏側にあるブラケットに舌が当たることで会話がしにくいこと、金属アレルギーのリスクなどがデメリットです。

歯科医の高い技術が求められる方法であることから、費用も高額になる場合があります。

どの矯正歯科でも、ブラケット装着後はプラーク(歯垢)が溜まりやすくなるため毎日の丁寧なケアがとても大切です。

歯科医からブラッシングの正しい方法やフロスなどを使用した効率的なケアのアドバイスをもらい、しっかりと実践する必要があります。

自家歯牙移植での矯正歯科

特徴的な矯正歯科の1つに自家歯牙移植(じかしがいしょく)を利用したものがあります。

自家歯牙移植とはケガや病気などで失った(抜歯した)歯の部分に、他の健康な歯を移植する治療法です。

移植した歯は、周囲の歯や歯肉などの歯周組織と形や機能がすぐに適合するわけではありません。

そこでブラケットを装着することでその適合を促し、元あった歯に近い状態まで回復させるという方法が取られることがあります。これが自家歯牙移植を利用した矯正歯科です。

自家歯牙移植にはメリットが2つあります。

・他の抜歯治療と比べて回復後の機能性や審美性が元の天然歯に近い
・抜歯した健康な歯(親知らずなど)が無駄にならない

他の抜歯治療にはインプラントや入れ歯、ブリッジといったものがありますが、これらはチタンやセラミック、プラスチックといった人工物であるためどうしても違和感を感じる方がいらっしゃるのが現状です。

その点自家歯牙移植は特に優秀で、矯正歯科を活用することによってさらに適合性を高めることが可能なのです。

ただ健康な歯をむやみに抜歯することはあまりおすすめできません。

条件によっては自家歯牙移植を利用した矯正歯科ができない場合もあるので、希望する方は歯科医院に直接相談しましょう。

最後に

矯正歯科は良い素材を選んで高いお金を払ったからといって、それが100%本人にベストな治療法であるとは限りません。治療開始前に医師としっかりと相談し、ベストな方法を選択することが大切です。

また治療には多少の痛みや不快感は伴うものですが、実績があり技術に信頼がおける歯科医師であれば痛みを理解し最小限に減らすよう努力してくれます。

予約前にホームページなどで歯科医院の詳細をチェックし参考にしましょう。

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