歯と健康のラボラトリー

歯科から見た糖質制限食のススメ

皆さんの健康のもととなっているのは食事です。食べた物によって歯や身体は作られています。あくまでもお薬は食事ではどうにもならない時に飲めばいいというのが基本の考え方です。

健康を維持するためには日々の食事を”自然で無理のないもの”にし、よく噛んで食べることが必要です。私たち人間にとっての”自然で無理のない食事”というのが『糖質の少ない食事』なのです。

そもそも私たち人間の歴史のほとんどが糖質の少ない食事で、人の身体はそれに合わせた仕組みを持っています。

しっかりと噛むことができるのは歯があるからこそで、歯が健康に大きく関係しているのはもちろんのことです。しかししっかり噛んで食べることができていても、糖質が過剰に含まれた食事では歯周病や虫歯のリスクを高めてしまうことになり、口腔内の健康を脅かしている可能性があるということをご存知でしょうか。

糖質の少ない食事ということで『糖質制限食』が注目されていますが、実は歯周病予防や虫歯予防にも繋がるのです。

今回は口内の健康、歯の健康を維持するために歯科の目線から見た糖質制限という食事方法についてお伝えしたいと思います。

現代人の食生活

現代人の食事は、脂質・糖質によってカロリーを摂取することは出来ていても、たんぱく質・ビタミン・ミネラルといった微量栄養素が不足してしまっているのが大きな特徴です。

ジャンクフードやパスタやラーメンなどで満腹感は得られても、そのほとんどが脂肪と糖なのです。

カロリーは十分なはずなのに、栄養素が不足しているため身体が満足せず、さらに食べ物を要求し過食になります。しかし沢山量を食べても身体を健康に維持するのに重要な栄養素を補うことができなければ、結果的に不調になります。

脂肪と糖が多い食事

糖質と糖が追加されれば、それを分解するための栄養素が必要になるので食べれば食べるほど栄養素が不足してしまうという悪循環から抜け出せなくなってしまいます。

胃袋に食べ物を入れることで、そのすべてが血となり骨となるというわけではありません。ビタミンやミネラルなどの栄養素の働きによって身体のシステムを円滑にすることができ、その結果として口から摂りいれたものが胃腸で吸収され細胞や血液となることができるのです。

バランスよくさまざまな栄養素を摂取することができて初めて、身体のシステムが円滑に機能し健康な状態が維持されます。脂肪と糖を過剰に摂取してしまう傾向にある現代人こそ、糖質制限食を取り入れることが重要なのです。

 正しい糖質制限食

糖質制限食の基本的な考え方は、出来るだけ糖質の摂取を抑え、食後の血糖値の上昇とインスリンの過剰分泌を防ぐというものです。簡単に言うと主食となる米やパンを抜き、おかずばかり食べるということになります。

食べ物が消化・吸収されたあと、脂質とたんぱく質は血糖に変わりません。しかしなんと糖だけは100%血糖に変わってしまいます。また糖質は、摂取直後から血糖値を上昇させ、2時間以内にほぼすべてが体内に吸収されてしまうのです。これは食べ物の”カロリー”とは全く無関係です。カロリーを抑える食事をしても、糖分を抑えることができなければ血糖値の上昇を抑えることはできません。

糖質・脂質・たんぱく質という3大栄養素のうち、血糖値の上昇と関わりがあるのは糖質だけなのです。

インスリンは”肥満ホルモン”

糖質を摂取すると、血液中にある血糖(ブドウ糖)をエネルギーに変えるために必要なインスリンが大量に分泌されます。インスリンは私たち人間が生きていくためには欠かす事のできない大切なものですが、別名「肥満ホルモン」とも呼ばれているように過剰に分泌されてしまうと身体に悪い影響を与えてしまうのです。

肥満体型でない方も、糖質を摂取することによって食後の血糖値が上がりインスリンの過剰分泌が繰り返されると、糖尿病・メタボリックシンドロームのほかにさまざまな生活習慣の原因を作ってしまうことになるのです。肥満体型でない方も糖質制限食にすると健康を維持するのに役立ちます。

肉類・魚介類や豆類のタンパク質と脂質が主成分の食品や野菜・オリーブ油などは美味しく摂取し、穀物やイモ類・醸造酒(米や麦でできているもの)を上手に制限しましょう。

糖質制限食の嬉しい効果

糖尿病やメタボリックシンドロームのほかにも逆流性食道炎や尋常性乾癬を改善する効果が認められている糖質制限食ですが、全身の血流や代謝をアップする効果も認められており、自然治癒力が高まるなど嬉しい効果が沢山あります。

そして歯を失う2大原因と言われている歯周病と虫歯を予防する効果にも注目が集まっています。

歯周病や虫歯の予防効果

歯周病も虫歯も、最大の原因はプラーク(歯垢)です。

嬉しいことに、糖質制限食でプラークが減ります。プラークはただの食べカスではなく、生きた細菌の塊です。歯垢中の細菌は、食物中の糖質を栄養源にして次第に増えていきます。甘いものだけでなくでんぷんなども糖質なので、糖質制限食にして小麦やジャガイモなどを制限することでプラークのエサとなる糖質を絶つことができます。

プラークコントロールをせずに放置すると、細菌が糖質を分解してつくり出す酸や毒素で歯周病や虫歯を発症してしまいます。プラークはエサとなる糖質が減ることで繁殖しにくくなり、結果として歯周病や虫歯の予防に繋がるのです。

歯周病が原因となる可能性がある糖尿病や心疾患などの予防にも繋がるので、糖質制限を行うことは口内環境の健康と全身の健康を維持するのに非常に有効だと言えます。

最後に

「口腔内に存在する細菌が、糖質をエサにして歯周病や虫歯を発症する。そしてそれを元に血管内に細菌が入り込み、全身のさまざまなところで悪さをしている。」そのため糖質を控えて口腔ケアをしっかり行うことが歯科から見ても推奨されています。

日常的に細菌が容易に血管に入ることができる唯一の場所が、歯の根元に出来た歯周病や虫歯なのです。知らず知らずのうちに全身の血管で炎症が進行し、血管を劣化させて心筋梗塞や脳梗塞、がんや認知症などさまざまな慢性病の原因となることも最近の研究で明らかになっています。

細菌が入り込み、多くの生活習慣病の原因となる歯周病や虫歯を防ぐためには、食生活を根本的に見直すことが重要なのです。

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