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ドライマウスの症状と原因について

近年、歯科医院に口の渇きが気になると来院する患者さんが増えています。口の渇きが気になる口腔乾燥症は「ドライマウス」と呼ばれ、「ドライアイ」や「ドライスキン」と同じように広く知られるようになりました。

口の中は常に湿った状態にあるのが通常なのですが、何かしらの原因によって唾液の働きを損ねてしまうと、さまざまな不都合が生じます。口の中が乾燥すると感じた場合には、ドライマウスを疑いましょう。

ドライマウスは病気ではなく、自覚症状です。放っておくとさまざまな弊害が生じ、辛い思いをすることになるので原因を知り、対策をしましょう。

口腔乾燥症(ドライマウス)

口腔乾燥症とは口の中が渇いている状態や唾液によって口の中が保湿できていない状態になる病気です。

  1. シェーグレン症候群という病気によるもの
  2. それ以外のもの

この二つに分類されます。

シェーグレン症候群という病気によって起こる口腔乾燥症は、身体の中の異物を退治する成分が唾液を作る部分を攻撃してしまい、唾液を作ることができなくなることによって起こります。しかしシェーグレン症候群によって起こる割合は1割ほどで、ほとんどがそれ以外の原因で起こる口腔乾燥症です。

口腔乾燥症の症状には個人差があり、口の中全体が渇くという方もいらっしゃれば、口が渇くだけでなくネバネバしたり話しにくく感じるなどさまざまです。飲み込みにくく感じることや、口腔乾燥症が原因で口臭が出てしまうこともあります。

口腔乾燥症の主な症状

ドライマウスが進行するとさまざまな症状が起こります。

味覚異常

味を感じる味蕾は水に溶ける物を”味”として感じ取ります。そのため唾液の分泌量が低下していると、味覚を感じ取りにくくなり味覚異常を起こしてしまうことがあります。

食物摂取が困難になり、嚥下も困難になる

口の中が乾燥していると、舌や頬の粘膜を動かしにくくなってしまいます。さらに唾液の分泌量が低下すると咀嚼した食べ物の塊をつくることが難しくなり、飲み込みにくくなってしまいます。

口臭が強まる

口臭の原因の8割は、舌の表面に溜まった舌苔という汚れと言われています。舌苔は死んだ細菌や頬の粘膜、食べかすなどから構成されています。唾液の分泌量が少ないと舌苔が洗い流されず、口臭が増してしまう原因になります。

舌に痛みが出る

唾液には抗菌作用や自浄作用があり、口腔内の細菌のバランスを保つという重要な役割を果たしています。しかし唾液の分泌量が低下してしまうと、カンジタ菌を始めとする細菌類が増殖してしまい、舌がピリピリと痛むことがあります。そして口角が切れてしまうこともあります。

義歯がガタガタする

義歯は唾液によって粘膜との間の空気をなくして吸着しています。口の中が乾燥すると適合している義歯だとしてもガタついてしまうことがあります。その他舌苔の増加や虫歯や歯周病になりやすくなるなどさまざまなトラブルを引き起こす可能性があります。

口が渇く、話しにくい、食事の時に飲み物が必要、夜間に水分を摂るために起きるという方は口腔乾燥症が関わっている可能性を疑いましょう。

口腔乾燥症の原因

今回はシェーグレン症候群以外の原因に焦点を当てていきたいと思います。

口呼吸

口腔乾燥の大きな原因として口呼吸が挙げられます。長時間の口呼吸は口腔内を乾燥させ、口腔粘膜の痛みやプラークの増加を引き起こすため、歯周病や虫歯の発症を助長します。

口呼吸はアデノイドや鼻炎によって二次的に起こる可能性があります。

嗜好品の過剰摂取

コーヒー・緑茶・紅茶に含まれるカフェインやタバコに含まれるニコチンは粘膜に対する刺激です。カフェインやニコチンには高い利尿作用があるため、一時的に脱水を起こし唾液の分泌が低下してしまいます。

水分不足

全身の機能を円滑に行うためには、成人の場合には1日に体重の20分の1の水分量が必要とされています。例えば体重50㎏の人の場合には、1日に2.5ℓの水が必要ということになります。

摂取した水分の一部が唾液の分泌に利用されていますので、水分が不足してしまうと唾液の分泌量が低下してしまう可能性があるのです。

食事などで自然に摂ることができる水分量は1.5ℓと言われていますので、残り1ℓは食事以外で摂取する必要があります。

咀嚼回数が不十分である

食事を摂る際の咀嚼回数の減少は、唾液の分泌量の低下と唾液腺の萎縮を引き起こします。

乳幼児期にあまり噛まなくても食べることができる食べ物中心の食生活を続けていた場合は、正しい咀嚼習慣が身に付かず、噛まずに飲み込む癖がついてしまっています。すると結果的に口周りの筋力が弱まり、咀嚼が不十分なので唾液の分泌量を低下させてしまうことになります。

また、入れ歯がうまくかみ合っていないと、正しく噛むことができない場合もあります。

1口に30回噛むことが理想ですが、成人してからではなく幼少期から習慣づけることが大切です。

高血圧や糖尿病

高血圧や糖尿病は口腔乾燥症と深いか関わりのある病気です。糖尿病では血糖値が高い時に口渇、多飲、多尿が起こります。一般的には血糖値が300mg/mlを超えると症状が現れると言われています。

また、全身の病気に使われる薬のうち400以上の種類が、唾液を作る機能を低下させる可能性があるものです。抗うつ薬など心療内科や精神科で使用する薬は特に口腔乾燥症を引き起こすものが多く扱われています。

ストレス

日常的なストレスや突然引き起こされたストレスは口腔乾燥症の危険性を高めます。ストレスが無くなると改善しますが、ストレスを溜め込まないようにする必要があります。

 口腔乾燥症を改善するために

口腔の症状やそれに関連していると考えられる症状を緩和することが対症療法です。口腔乾燥症の症状が進行すると口臭も強くなる傾向にありますが、唾液の分泌が促進されれば症状が和らぐことが多いため、よく用いられるのが唾液腺マッサージを含むお口のストレッチです。

その他にも日頃の少しの心がけで唾液の分泌が促進され乾燥も緩和します。よく噛む、規則正しい生活を送る、鼻で呼吸をする、定期的に歯科検診を受けるなど、これらを実践するように心掛けていれば、ドライマウス対策に繋がる口腔ケアは可能です。歯科医師に相談し、しっかりと習慣化しましょう。

最後に

唾液によって口腔内が潤うと、味も感じやすくなり食事も一層美味しく食べることができます。美味しくよく噛んで食べて、楽しく会話することで口の周りの筋肉が衰えないように過ごしましょう。

口腔乾燥症の疑いがある、口腔乾燥症かどうか心配という方は早めに歯科医院に相談しましょう。

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