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本人は自覚がない!?高齢者の睡眠時無呼吸症候群について

みなさんは睡眠時無呼吸症候群という言葉を聞いたことがありますか?

その名の通り寝ている間に喉の閉塞により無呼吸状態になったり低呼吸状態になる症状ですが、実は高齢者に多いと言われているのです。

高齢になると筋肉が衰えていきますが、それは手足などの筋肉だけでなく、全身の筋肉に起こります。喉やその周辺の筋肉が衰えると喉が閉塞しやすくなってしまうため、睡眠時無呼吸症候群を引き起こしやすくなるのです。

昔はいびきをかかなかったのに、年齢を重ねるごとにいびきをかくようになってしまったという方も意外といらっしゃるのではないでしょうか。

いびきをかくのは肥満や寝る時の姿勢、生活習慣などが原因になっていることもありますが、もしかしたら睡眠時無呼吸症候群を発症しているかもしれないのです。

高齢者の場合には自覚が無いケースが多いとも言われており、治療を受けている方もわずかです。今回はそんな睡眠時無呼吸症候群について高齢者に焦点を当ててお話したいと思います。

睡眠時無呼吸症候群とは?

睡眠時無呼吸症候群とは、睡眠中に呼吸が停止してしまう病気のことで、英語では”Sleep Apnea Syndrome”といい、その頭文字をとって「SAS(サス)」とも呼ばれています。

医学的には寝ている間に10秒間以上呼吸が停止、もしくは呼吸による換気が50%以下になることが1時間のうちに5回以上あることとされています。

本来、日中にたくさん活動した脳や体をしっかりと休息させるための睡眠ですが、その最中に呼吸停止状態が繰り返されてしまうと体内の酸素濃度が減少してしまいます。すると酸素不足を補おうと心拍数を上げてしまい、脳や体に大きな負担をかけてしまい休息どころではなくなってしまいます。

ご家族に睡眠時の呼吸停止を指摘されることもあるかも知れませんが、眠っている間のことですので睡眠時無呼吸症候群を発症している本人は自覚しにくいという特徴があります。

睡眠時無呼吸症候群は最悪の場合急な眠気や全身の倦怠感に見舞われ、日中の生活に悪影響を及ぼすこともある怖い病気です。また、日常生活に支障が出るだけでなく、合併症を引き起こす可能性も指摘されています。

高齢者の睡眠時無呼吸症候群

高齢者の睡眠時無呼吸症候群の発症率は65歳以下の成人と比較して高い割合になっており、65歳以上では20%以上が睡眠時無呼吸症候群であるという報告もあります。

ほとんどの高齢者が睡眠時無呼吸症候群を自覚しておらず、治療を受けている方は非常に少ないと言われています。

睡眠時無呼吸症候群は、大きないびきを始めとして夜間の頻尿や日中の眠気に繋がります。高齢者の場合には日中の突然の眠気で転倒して骨折してしまい、寝たきり状態になってしまうこともあります。

また、無呼吸症候群の重症度に応じて認知機能が低下するということも明らかになっており、高齢者の睡眠時無呼吸症候群は決して放置できるものではないのです。

高齢者が睡眠時無呼吸症候群を発症しやすい理由

睡眠時無呼吸症候群の高齢者が多い理由としては、体内のコラーゲンが減少し、気道の周辺の筋肉や組織の機能が低下していくことで気道が閉塞しやすくなってしまうからと考えられています。

口周りや舌などの筋肉が衰えてしまうと、睡眠時に口を閉じておくことが難しくなってしまい、口呼吸になってしまいます。口呼吸をしていると、舌を正常な位置に維持することが困難な状態になるため、舌が気道に落ちてしまう舌根沈下という状態になります。舌根沈下によって気道が塞がれると睡眠時無呼吸症候群を引き起こします。

手足の筋肉だけでなく全身の筋肉が衰えてしまう高齢者は、気道の周辺の筋肉まで衰え、睡眠時無呼吸症候群を発症しやすくなるのです。

睡眠時無呼吸症候群の危険性

高齢者に限ったことではありませんが、睡眠時無呼吸症候群は体にさまざまな悪影響を及ぼします。

睡眠時無呼吸症候群の場合には寝ている間に呼吸が繰り返し停止してしまうため、脳が覚醒した状態になります。すると自律神経が乱れ内分泌系にも悪影響を及ぼし、高血圧や動脈硬化、糖尿病や脳卒中などを引き起こす原因になります。

また、無呼吸が繰り返されると心臓に大きな負担がかかり、自覚症状無いまま突然死に至る可能性があります。心筋梗塞や心不全などの心疾患や不整脈など命に関わるような重大な疾患を引き起こす可能性もあるため、早期発見早期治療が望ましいのです。

中でも高血圧になる確率は睡眠時無呼吸症候群でない人のおよそ3倍にもなると言われています。

全てのいびきが無呼吸症候群と関係しているとは言えませんが、朝まで継続しているようないびきや、突然息が詰まったように途切れるいびきをかいている場合には要注意が必要です。

高齢者もできる睡眠時無呼吸症候群対策

何もしていなければ歳を重ねるごとに徐々に全身の筋肉が衰えていきます。かといって高齢者がハードな運動をして全身の筋肉の衰えを防ぐのは困難ですよね。

睡眠時無呼吸症候群を予防・対策するためには口周りの筋肉をトレーニングすることが大切です。

高齢者が簡単に継続できる手軽なトレーニングは、「あいうべ体操」です。

あいうべ体操とは、大きな口を開けて「あ・い・う・べ」と発音していくという簡単な口元の体操です。以外と何回も繰り返すときつく感じますので、高齢者が無理のないように継続して行いましょう。

道具もいらず準備もいらないので、いつでも簡単に睡眠時無呼吸症候群を予防するトレーニングができます。

まとめ

いかがでしたか?

今回は高齢者の睡眠時無呼吸症候群についてお伝えしましたが、もちろん高齢者だけに起こる症状ではありませんので、是非みなさんに注意していただきたいと思います。

高齢になると筋肉が衰えてしまうから睡眠時無呼吸症候群になるのは仕方がない、と諦めてしまうのではなく、健康寿命を延ばすためにも放置しないようにしましょう。

睡眠時無呼吸症候群が原因となる大きなトラブルや他の病気を防ぐためにも、身近なおじいちゃんやおばあちゃんの睡眠時の呼吸に何か異常を感じた場合には、なるべく早く医師に相談するようにするなど、ご家族や周囲の方のサポートが必要なのです。

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