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口腔扁平苔癬や白板症などの口腔内病変について

口腔扁平苔癬(こうくうへんぺいたいせん)や口腔白板症(はくばんしょう)という口腔内の病変をご存知ですか?口内炎を始めとして口腔内の粘膜疾患にはいくつかの種類があり、口腔扁平苔癬と口腔白板症もその中の一種です。

口腔扁平苔癬や口腔白板症など、あまり聞きなれない言葉かもしれませんが、歯科領域では比較的良く見かける口腔内の病変です。どちらも前癌病変として考えられており、放置してしまうのではなくなるべく早く専門家に診断してもらう必要のある症状です。

口腔内は全身の健康状態とも深い関わりがある大切な部分ですので、何か異常を感じた場合にはすぐに歯科医院などを受診し、適切な治療を受けましょう。

今回は口腔扁平苔癬と口腔白板症について詳しくお伝えしたいと思います。口の中に何か違和感を感じていたり、トラブルがあるという方は是非参考になさって下さい。

口腔扁平苔癬とは

聞きなれない言葉かと思いますが、扁平苔癬とは粘膜が角化し、炎症を起こしてしまう慢性粘膜疾患です。口腔内に限ったものを口腔扁平苔癬と呼びます。

口腔扁平苔癬はレース状に白い白線が口の中に広がってみえることが多く、左右両側の頬の粘膜部分が好発部位です。口唇や歯肉、舌にできることもあります。その周囲には赤みがでたり、びらんや潰瘍ができることもありますし、稀に水疱を形成することもあります。その病態と症状の現れ方には多彩で、個人差があります。

口腔扁平苔癬は自覚症状が無いこともありますが、触れると痛みを感じ食事が困難になってしまったり、食べ物を食べる際にしみることもあります。また、口の中が荒れてしまったり出血、味覚障害を引き起こすこともあります。

口腔扁平苔癬の原因

口腔扁平苔癬は歯科領域で良く見かける症状であるにもかかわらず、正確な原因が判明しておらず、発症のメカニズムも良く分かっていないのが現状です。

現段階では、入れ歯や銀歯などの金属によって引き起こされるアレルギー反応、もしくはストレスや遺伝的なものとの関係が指摘されています。また、口腔扁平苔癬は特に40代から50代の女性にできやすいと言われていますので、その年代の方は要注意です。

口腔扁平苔癬は診察による臨床所見のみでほかの疾患と見分けることができないため、病変から一部組織を採取して病理組織検査を行い、臨床所見と病理組織の結果と併せて診断することになります。

口腔扁平苔癬と癌

口腔扁平苔癬の場合の癌化率は口腔白板症と比べると非常に低く、過去の報告のなかでもおよそ1%と言われています。

しかし口腔扁平苔癬は、WHOにおいても癌化する可能性のある病変の一つに位置づけられていますので、放置してしまうのは危険です。

口腔扁平苔癬は、原因がはっきりしていないため、難治性で完全に消失せずに長期経過をたどることが多く、経過中に症状が変化したり、癌化したりすることがあります。また、治療しても再発することがあるため、治療を終えてからも継続的に経過観察をする必要があります。

口腔白板症とは

口腔扁平苔癬とは区別しなければならない病変の一つに、口腔白板症というものがあります。口腔白板症は口腔扁平苔癬に比べると癌化する可能性が高く、前癌病変の最も代表的な疾患です。

口腔白板症は、粘膜の一部が擦っても取り除くことができない白い板状もしくは斑状の角化したものです。イボのように隆起したものや、赤い部分が混在しているものもあります。臨床的に、もしくは病理組織学的に見ても他のいかなる疾病にも分類されないものを白板症と定義しています。

口腔内の粘膜組織が白色に変化している場合には痛みがありませんが、粘膜が赤くなっている場合には痛みを伴います。口腔白板症が発症する部位は、舌、歯茎、頬の粘膜部分、口蓋などが主で、身に覚えがないのにこれらの部分が白く変色してしまっている場合には白板症であるかも知れません。

口腔白板症の原因

口腔扁平苔癬と同様に、口腔白板症の原因も残念ながら明らかになっていません。

要因としては金属の詰め物や入れ歯、継続的なアルコールやタバコの摂取、女性の場合はエストロゲンの欠乏などが関係しているのではないかと考えられています。また、歯周病原菌が多い口腔環境であったり、エイズ発症前にも出現することが明らかになっていますので、定期的に歯科検診を受けるなどして、しっかりと口腔内の状態を把握しましょう。

ハッキリと原因が分かっている場合には白板症と分類されませんが、継続的になにかの刺激によって白板症を引き起こす可能性は0ではないのです。

口腔白板症を発症しやすい年齢は、口腔扁平苔癬と同様で40代以降でですが、口腔白板症は口腔扁平苔癬とは異なり女性よりも男性が発症しやすいものです。これは男性のほうが女性よりも喫煙している方が多いことが関係しているのではないかと考えられています。

口腔白板症と癌

口腔白板症が癌化するのは全てというわけではなく、細胞の並びに異常がある場合と言われており、細胞の並びに異常がない場合には癌化することはありません。しかし口腔白板症は病態によってはすでに一部が癌化しているケースがありますので、検査をしっかりと行うようにしましょう。

口腔扁平苔癬と口腔白板症は、共に口腔内が角化して白色の状態になるため、非常によく似た状態になることがあります。病理組織検査を行うことで鑑別することができます。

まとめ

口腔内に癌ができてしまっては大変です。単なる口内炎かと思っていたら、実は口腔扁平苔癬や口腔白板症だったというケースもあります。

口腔内に癌ができてしまう前にそのサインとも言える扁平苔癬や白板症などの症状をなるべく早い段階で発見することは、口腔内を健康に保つために非常に重要です。

病理組織検査を行うことで明確にその疾患の種類を判別できますが、いずれも発症する原因が明らかになっていないため、ご自身で原因として考えられることを取り除き、口腔内の粘膜の疾病を予防する必要があります。原因が特定できないため、自力で予防をするのは難しいかも知れませんが、何か害を及ぼす可能性があるようなものは控えるようにしましょう。

健康な口腔環境を保ち、いち早く異常を発見するためにも歯科医院での定期検査を受診し、口腔内の違和感やトラブルに気が付いた場合にはなるべく早く歯科医師に相談しましょう。

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