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口腔がんの症状・セルフチェック方法・治療法とは

日本人にとってとても身近で怖い病気である”癌”。なんと2人に1人の割合でかかり、3人に1人が癌で亡くなっています。癌は全身のさまざまな部位に発症する可能性がありますが、人間ドックや健康診断の際に早期発見に成功するケースも増えています。

癌の中でも特別な機械を用いた検査を行わなくても直接発見できるのが”口腔がん”です。口腔がんには歯肉がん、舌がん、口底がんなどの種類がありますが、いずれも直接目で見て確認することができるものです。

それでもなかなか早期発見に至らないのは、日頃から口の中を観察する習慣がない方が多かったり、何か異常を感じても口内炎や歯周病などと勘違いをしてしまうケースが多いからなのです。中には口の中に癌ができるということをご存知ない方もいらっしゃるかもしれません。

そこで今回は口腔がんの症状やセルフチェック方法、口腔がんを発症している場合の治療方法をご紹介したいと思います。口腔内の異常を放置してしまうということの無いように、是非チェックしてみてください。

口腔内を観察する習慣はありますか?

みなさんの中で日頃からご自身の口の中の状態を観察する習慣があるという方は、どのくらいいらっしゃるでしょうか。歯磨きなどのケアをするだけでなく、口の中の状態をしっかりと観察する方はあまり多くないかもしれません。

しかし日本ではなんと毎年約7000人もの方が口腔がんになり、そのうち3000人もの方が亡くなっています。そしてその数字は増え続けていると言われており、口腔がんがいかに恐ろしいものかが分かります。

口腔がんは発症部位により、歯肉がん・舌がん・口底がん・口蓋がん・頬粘膜がん・口唇がんに分類されます。中でも日本人に一番多いのは舌がんで、口腔がんのうちの半分以上を占めています。

口腔がんは早期発見することができれば後遺症が残ることもほとんどなく、治癒しやすい癌と言われています。口腔がんを発症している場合には早期に治療を開始することが望ましいため、日頃からご自身のお口の中をよく観察する習慣をつけておくと安心です。

注意したい口腔がんの症状

口腔には粘膜の病気があり、放置してしまうと癌になる可能性が高い病変のことを前がん病変といいます。

口腔内の粘膜は健康な状態であればピンク色をしています。しかし白色の斑状の模様や黒色の変色、舌の部分が白く変色しているなどの異常がある場合には前がん病変である可能性があります。

口腔がんのほとんどが扁平上皮がん(粘膜の表面から発生する)タイプで、粘膜が潰瘍のように陥没していたり、腫れて隆起していたりし、その病変周囲が少し硬くしこりになっていることが多いです。しかし口腔がんは初期には痛みがなく、しこりや出血が見られないものが多いため、症状を見過ごして悪化させてしまうことがあります。

また、症状がすすむと、痛くて食事が取りづらくなったり、うまくしゃべれなくなったりします。組織も壊死してきますので、口臭も強くなってきます。

少し変色している部分がある、口内炎のようなものが治りにくいなど異常がある場合には、口腔がんの症状かもしれないため早めに歯科医院や口腔外科を受診しましょう。

口腔がんのセルフチェック方法

明るい光の下で鏡を使って最低でも月に1回はご自身で確認してみましょう。(※入れ歯を使用している方は、必ず外した状態で確認しましょう。)

  • 白や赤などの斑点はないか
  • なかなか治らない口内炎や出血しやすい傷はないか(2週間以上)
  • 硬くなった部分や盛り上がったできものはないか
  • 腫れている箇所がないか
  • 首や顎の下が腫れていないか
  • 食べたり飲んだりしにくいことはないか

頬や舌、舌の裏、上顎や口唇など口腔全体を確認しましょう。

口腔がんが進行するにつれて痛みや痺れが現れたり、出血や舌を動かしにくいなどの分かりやすい症状が現れます。万が一癌がリンパ節に転移してしまっているケースでは、顎の下や首などのリンパの通り道にしこりを確認できる場合もあります。

万が一セルフチェックで気になる症状があれば、怖がらずになるべく早く診察を受けましょう。

口腔がんの治療方法

口腔がんは基本的には手術による外科療法が行われます。がんの部位や大きさによっては、放射線療法単独で行われることや外科、放射線、化学療法を組み合わせて行うこともあります。

切除法

口腔がんが発症している部位を手術で取り除く方法で、確実に癌を取り除くために正常な組織を含めて切除を行います。

切除法では顔の要望が変わってしまう場合があるため、治療を躊躇う患者さんも多くいらっしゃいます。しかし手術によって切除された部位を身体のほかの組織や金属などの人工素材を用いて修復する再建手術の技術も進歩を遂げています。医師と良く相談し納得した上で治療を受けましょう。

放射線療法

高エネルギーの放射線を照射し、がん細胞を破壊する治療する方法です。放射線治療を単体で行って癌を破壊する方法だけでなく、手術前に放射線を照射して切除範囲を減らす方法、手術後に行って再発を防止する方法、症状を和らげるための方法などがあります。

放射線療法を行っている間は口腔内の粘膜炎が起こり、照射した部分の皮膚が赤くなったりただれてしまうなどの副作用があります。

化学療法

抗がん剤の点滴や服用によって癌細胞を破壊する方法です。こちらも手術の前にがんを小さくしたり、再発防止のために用いられます。また、手術を行うことができないほど癌が広がっている場合にも行われます。

化学療法では正常な細胞にも影響を与えてしまう可能性があり、使用する抗がん剤の種類によっても副作用は異なりますが、食欲の低下や吐き気、下痢やじんましんなどさまざまな副作用が現れることがあります。

まとめ

口腔がんは口の中を観察する習慣があれば発見しやすいかもしれませんが、万が一何か異常を感じても口内炎や歯周病などの口腔内の身近なトラブルと勘違いをして、早期に歯科医院や口腔外科を訪れるという方はあまり多くないのが現状です。

健康診断は義務化されていても、歯科検診は義務化されていないため、日常生活に支障がでない限りは放置してしまうという方も多いのです。

”見えるがん”である口腔がんによる死亡率を減少させるためにも、なるべく早く発見し、すぐに治療を開始しましょう。今回ご紹介したセルフチェック方法で不安な点があればすぐに医師に相談し、物を噛み、飲み込み、声を出すのにも大切な器官である口腔を守りましょう。

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